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V・ファーレン長崎の「死角」…奇跡のJ1昇格の光と影

文=編集部
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 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)史上に残るといわれる奇跡が起こった。

 地方の弱小クラブであるV・ファーレン長崎がJ1昇格を果たしたのだ。11月12日付朝日新聞の九州版は、一面トップでこの快挙を伝えた。

 今年に入り深刻な経営難に陥ったが、地場企業のテレビ通販ジャパネットホールディングス(HD)の創業者、高田明氏がV・ファーレンの社長に就任して再生させた。1部リーグ(J1)昇格を決めた日、選手たちに胴上げされた高田氏は「長崎の奇跡!」と、あの甲高い声で叫んだ。

 今年3月、V・ファーレンの経営危機が表面化した。累積赤字が3億円を超え、給与を支払えない事態に追込まれた。Jリーグでは債務超過に陥ったクラブや3期連続赤字を計上したクラブは、J1およびJ2で戦うライセンスを得ることができない。債務超過への転落を回避しないかぎり、長崎はJ3に降格し、プロのチームとして活動するのが困難になる。

 選手に給与が払えない事態もあり得ると知った高田氏は、迷わず支援を表明。3年間で10億円以上の資金投入を表明した。

 V・ファーレンは2004年、長崎県島原半島にある有明町(現島原市)で活動していた有明SCと国見高校OBを中心につくられた国見FCが合併してできた有明サッカークラブが前身。05年にJリーグ入りを目指すチームとしてV・ファーレンに改称した。V・ファーレンはオランダ語のVAREN(航海する)などの言葉を組み合わせた造語だ。

 日本フットボールリーグ(JFL)などを経て、13年からJ2に参戦した。この時から高木琢也監督が率いるようになった。同監督は国見高校出身で、サンフレッチェ広島で活躍した。元日本代表FWとしてヘディングを武器に得点を重ね、「アジアの大砲」と呼ばれた。

 高田氏は1986年に佐世保市で小さなカメラ店を創業。その後、テレビショッピングに進出。ジャパネットたかたの通販番組に自ら出演し、甲高い声と独特のしゃべりでお茶の間の人気者となった。

 持ち株会社ジャパネットHDの16年12月期の売上高は1783億円。家電に強く、テレビ通販のトップだ。15年に長男の旭人氏に社長の椅子を譲った。

 高田氏はウェブサイト「A and Live」を立ち上げ、“人を元気にする活動”を始めた。V・ファーレンの経営危機が取り沙汰されると、「長崎から元気印をなくすのは大きな損失」として再生に乗り出した。意思決定を迅速にするために、クラブ運営会社の株式を買い取り、ジャパネットHDの100%子会社とした。

 4月25日の株主総会で高田氏はV・ファーレンの社長に就任。就任時は4勝4敗1分けの9位だったが、それ以降は19勝6敗7分けと上昇気流に乗った。8月末からクラブ新記録の12連勝で駆け抜けた。

BusinessJournal編集部

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