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【伊調馨パワハラ告発】レスリング協会、「即刻否定」直後に「調査」への疑問

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写真:ロイター/アフロ

 女子レスリングでオリンピック4連覇を果たした伊調馨選手(33)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けていたとする告発状が、レスリング関係者から代理人弁護士を通じて内閣府の公益認定等委員会に出されていた。

 起こったとされる事案、そして告発のアプローチや告発された側の組織防衛的な対応が、昨年11月に起こった大相撲の横綱・日馬富士による暴行事件と構造的に酷似している。ときに上下関係に厳しいムラ社会ともいわれるスポーツ界の問題について、考えてみたい。

告発されたほうは「臭いものには蓋」をしようとする


 その告発状は伊調選手本人が出したものではなく、いわば事態に憤慨した複数のレスリング関係者が提起したという。そのなかには、オリンピック出場経験のある選手もいるそうだが、告発者は表に出ることはなく、貞友義典弁護士が代理人となっている。

「この告発状は、五輪出場選手を含む複数の協会関係者から依頼され、作成したものです。(略)しかし内閣府は『参考にする』と言うのみで、一ヶ月以上経っても調査に動く気配すらありません」(貞友弁護士、「週刊文春」<文芸春秋/3月8日号>より)

 告発状の概要はすでに大きく報じられているので、ここでは告発されたほうの対応に触れておきたい。告発されたのは、伊調選手の恩師でもある栄氏だ。栄氏は五輪女子金メダリストを複数輩出している至学館大学レスリング部の監督であり、日本レスリング協会で男女を統括する強化本部長でもある。いわばレスリング界で一定の権力を持つ。

 告発状の存在が報道され、大きな話題となってすぐ、日本レスリング協会は3月1日に「見解」を発表した。一部を抜粋する。

「まず、当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はございません。同様に、当協会が田南部力男子フリースタイル日本代表コーチに対し、伊調選手への指導をしないよう、不当な圧力をかけた事実もございません」

 こういう文章は「木で鼻をくくったような」と評することができる。問題の告発文は、同協会幹部のパワハラ疑惑を糾弾したものだ。このレスリング協会の声明直後の3月2日、林芳正文部科学相は同協会が伊調選手と栄氏に調査を行うと発表したが、同協会は「事実はございません」とする見解を出す前に、指弾されている栄氏の行動がどうだったのか、それに対する事実確認や見解の表明が必要だったといえよう。報道が明らかとなった後、短時間で出された「見解」なら、「これから十全に調査する」という表現が最低限の誠意ある見解といえる。ちなみに日本レスリング協会副会長である馳浩元文部科学大臣は、「私たちと強化本部長、伊調選手が一緒にテーブルを囲んで話をすれば済む話だと基本的に思っている」との見解を示している。

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