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『あなたには帰る家がある』視聴率6%台に暴落…略奪愛騒動の中谷美紀の不倫批判にザワつく

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 中谷美紀主演の連続テレビドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第4話が4日に放送された。平均視聴率は前回から2.6ポイント下がって6.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。

 佐藤真弓(中谷)が問い詰めたことにより、ついに夫・秀明(玉木宏)は茄子田綾子(木村多江)との浮気を白状してしまう。真弓も離婚までは考えておらず、反省しきりの秀明に家事をさせてこき使う。そんなある日、秀明の携帯電話に綾子から電話がかかってくる。それを見た真弓は、きちんと別れるようにと夫を促す。翌日秀明は綾子と会って別れを告げ、すべては丸く収まるように見えた。ところが、後日綾子は大量の手づくりメンチカツを持って真弓の会社に現れたのだった。

 おとなしく引き下がったのかと思えば、なおもマウントを取りに来る綾子が心底怖い。真弓に責められて開き直るさまも、「話の通じないヤバい人」そのもので、関わってはいけないと思わせるのに十分すぎるほどだ。不倫を悪びれるどころか、自分のほうが正しいと思い込んでいるのだからどうしようもない。木村の自然な演技も相変わらず素晴らしい。ドラマファンとしては、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系、2018年1月~3月)で同じく不倫妻を演じた松本まりかのような話題になりやすい派手な怪演だけでなく、今作の木村のような、淡々とした言動のなかに狂気を秘めた演技も評価されてほしいと思う。

 その一方で、視聴率は急激に下落してしまった。ストーリーはともかく、ドラマ好きには「役者の演技合戦がおもしろい」と話題になりかけていただけに、制作陣も無念だろう。ただ、その理由はおおむね想像が付く。「役者の演技がうますぎる」のである。

 綾子を演じる木村はひたすらじめっとしていてお近付きになりたくないし、ユースケ・サンタマリア演じる綾子の夫・太郎役も身勝手が過ぎる上にパワハラやセクハラも日常茶飯事。上から目線で親しげに話しかけてくるのも気持ち悪い。

 玉木演じる秀明は、人間としての「弱さ」を持っているだけで決して悪人ではないが、結婚記念日にフラフラッと浮気してしまうのはいただけない。妻の立場にしてみたら、ホテル代に4万8000円も払ったのも腹立たしいに違いない。「お前が優柔不断だからそんなことになるんだろう」と言いたくもなることだろう。要するに、登場人物が軒並み「見ていて不快になる」レベルなのだ。

 中谷演じる主人公・真弓も相当ひどい。専業主婦なのに家事はいいかげんだし、常に青筋立てて秀明にプンスカ怒っているばかり。すぐに上から目線で責め立てるばかりで、かわいげのかけらもない。第4話では太郎からも綾子からも「浮気されるほうにも原因がある」と指摘されて猛反発したが、はっきり言って真弓に限って言えばその通りである。

 もちろん、「浮気されるほうにも原因がある」との言説が正しいとは全然思わないが、このドラマの中ではかなり意図的に真弓を「浮気されるような落ち度がある人物」として描いているようだ。たとえば今回で言えば、「娘にバレたら殺す」と言っておきながら、家事を放棄して秀明にすべてをやらせたり、リビングのソファーに寝かせたりと、腹いせのために自らの発言と整合性の取れない行動をとる部分がそれに当たる。

 このため、視聴者の間からは「真弓に同情できない」「被害者ぶってるけど真弓も相当クズ」といった感想も聞こえてくる。いくら役者の演技対決が見ものとはいえ、不快な人たちが繰り広げる不快な言動の応酬を1時間観るのはつらい、と思う人がいても決して不思議ではない。かつて“略奪愛”で週刊誌などをにぎわせた中谷が、「それって不倫だよね。気持ち悪っ。相手の奥さんとか子どもに悪いって思わないわけ?」と言い放つパンチの効いた脚本も、「お前が言うな」と視聴者の反発を買いそうだ。ホラーコメディーとしてはなかなか見どころのある作品になりそうなので、もう少し踏ん張ってほしいところだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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