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「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/10月27日号)
国債の価格が上がると金利が下がる。現在日本の長期金利は1%を下回っている。長期金利とは、国債を保有した時に得られる利回りのことだ。「バブルどころか、めちゃくちゃ低いじゃないか?」と思われるかもしれないが、金利がここまで低いというのは、「国債が高く買われている」ということを意味する。
逆に多くの人が国債を買わなければ、金利は高くなる。例えばヨーロッパで危険だといわれているイタリア、スペイン、ポルトガルなどは国債の買い手が少ないので、金利が上がっている。日本が超低金利だというのは、国債が大人気だということを意味する。これが、国債バブルといわれるゆえんだ。
●借金大国なのに金利が低い不思議な国
日本は借金が多くて危ないと散々言われているにもかかわらず、なぜこうなっているのか?
国内の事情を見ると、不景気で消費者は消費を抑え、企業は設備投資を控えている。結果として銀行ではお金が余る。しかし、銀行は預かったお金を運用しないわけにはいかないので、国内では安全資産とされる国債を買わざるを得ない。保険会社でも、終身保険や個人年金保険などの契約を多数抱えていると、超長期で元本を確保するかたちで運用しなければいけない。すると、選択肢としては国債での運用が中心ということになる。会社により、国債の保有額は数兆円から数十兆円と巨額に上る。
金融機関が、バブルで高値に評価されている資産を山ほど抱えている……。これは、かつての80年代のバブルと同じ構図だ。90年代にバブルが崩壊すると、銀行は貸付金を回収できず、担保価値を失った不動産を抱えて立ち往生した。
では国債バブルがはじけるとどうなるか?
金融機関に巨額の評価損が発生し、自己資本(純資産)が吹き飛ぶ。保有する国債に対して、金融機関の自己資本はごくわずかだ(これは『お金は保険会社に預けるな』で詳しく説明した)。
●良い金利上昇と悪い金利上昇
では、国債バブルがはじけるのはどのような時か。答えは簡単で、金利が上がった時だ。また、金利の上昇には2種類ある。1つは良い金利上昇、もう1つは悪い金利上昇だ。
良い金利上昇は、景気が良くなり、資金需要が増えた時に、国債に向かっていた資金が融資・消費・投資に向かい、買い手が減って国債価格が下がり、金利が上がる。
悪い金利上昇は、日本という国が借金を返せなくなるのでは? との信用不安が広がり、国債の買い手が減って価格が下がった時に発生する。
ここで注目すべきは、景気が良くなっても悪くなっても、国債バブルは崩壊するかもしれないという点だ。景気が良くなって多少税収が増えても、金利が上昇すればそれを上回る利息負担が発生する可能性がある。