「日本は借金がどんどん増えている、だから利息負担も増えている」と思っている人は多いかもしれないが、実は利息負担は横ばいが続き、一時的には減っていた。昭和60年ごろから平成11年くらいまで毎年10兆円程度負担していた利息は、その後の金利低下により7兆円まで下落した。景気悪化によって金利が下がったことにより、新しい借金の利息は少なく済み、過去の借金の借り換え(ロールオーバー)も低金利でできていたからだ。
なんと不景気によって余ったお金が国債に集中し、国債バブルで金利が大きく低下したことが、財政破綻せずに済んでいる一番大きな理由というわけだ。
この奇妙な安定はさらなる借金の拡大につながったが、今後は金利低下による利息軽減の効果もこれ以上は期待できない。利息負担は平成18年を底に上昇へ転じ、平成23年には再度10兆円寸前まで上昇しているからだ。これは、一橋大学経済研究所准教授の小黒一正さんが『過去の利息負担の推移と将来の予想』をグラフにして説明している。今後は、仮に今の低金利が続いても利息負担は急激に上昇することが予測されている。この予測通りになれば、結局は財政に大きな負担となり、「悪い金利上昇」の条件である信用不安へと突き進んでしまう可能性が高い。
●バブルは崩壊する。ただし、いつかはわからない
バブルは崩壊するのが常だ。しかし、それがいつ崩壊するのかわからない。バブルの最中は「今がバブルだ」と気付くことはできない。「国債バブル」という言葉をこの記事で初めて知った人も少なくないだろう。
住宅ローンの借り方で、「金利が上昇すると危ないから変動金利はやめましょう」という話をすると、「これだけ低金利が続いているのに、上がるわけがないじゃないか?」という人が、FPも含めたお金の専門家にすらいる。金利は株価と同じで将来の推移は予想できない。将来は過去の延長ではないし、今の低金利はバブルの結果だとわかっている人はそんなことをまず言わない。
政治家や経済学者でも、「日本の借金は大したことがない」とさまざまな理屈をつけて説明する人もいるが、これもバブル期ではありがちな現象だ。「今回は違う」「この会社は違う」といって高値で不動産や株を買った人がどうなったか、説明するまでもないだろう。
●「時限爆弾」が存在することと、それが爆発するかどうかは別問題
国債という「時限爆弾」は、すべての金融機関にすでにセットされている。バブルが崩壊して、これがいつ爆発するのか、あるいは本当に爆発するのか、正確なことはわからない。先に挙げたように、「日本の財政は大丈夫」とあれこれと理由をつける専門家もいる。もしかしたら、その意見も正しいかもしれない。
しかし、爆弾が「爆発するかどうか」と、爆弾が「あるかどうか」はまったく別の話だ。爆弾が爆発するかどうかに関しては意見が分かれても、爆弾の有無に関してはもはや議論の余地はない。見えない借金として年金債務(年金の積立不足額)も加えると、1000兆円といわれる現在の借金は、倍になるともいわれる。