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勤労統計不正、背後に厚労省の雇用保険給付カットの意図か…失業保険もらえない人続出

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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雇用保険積立金が急増した背景

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 一方、上の図は「45歳~60歳未満」の中高年の「失業手当(上限額)」の推移である。02年頃までは日額1万650円程度だったが、03年には7000円台までダウン。この年齢層では、会社都合退職の場合の給付日数は最長330日。所定給付日数分をフルに受給した場合、02年に受給総額351万円だったのが、03年には263万円まで90万円近くもダウンしている。

 いったい、この時期に何があったのか。次のグラフは、1993年から2018年までの雇用保険積立金の残高の推移を表したものである。

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 93年には4兆7500億円もあった積立金が、翌年以降みるみる減っていき、02年には4064億円まで激減している。この間の動きを表したグラフが真っ逆さまに落ちていくさまは、「絶叫コースター」の急勾配をほうふつとさせる。

 いわゆるバブル崩壊後の不良債権処理の過程で表面化した雇用調整であり、日本が戦後初めて経験した高失業率社会の到来だった。

 だが、雇用保険のセーフティーネット機能という面からみれば、4兆円以上もの積立金を放出して失業者の生活を支え続けた雇用保険は、失業者サイドからみれば、とてつもなく頼もしい存在で、セーフティーネットの役割を存分に果たしたといえる。だが、その雇用保険も、実際は燃料切れ寸前だったのだ。

 厚労省もこの間、ただ手をこまねいて見ていたわけではなかった。01年には退職理由によって給付日数に大きな差をつけ、03年には上限額を最高24%もカットする法改正を断行。なりふりかまわず改正をして、雇用保険財政再建に必死だった。

 今回明らかになった「毎月勤労統計」の不正な抽出調査が、その直後の04年から始まったことに照らしてみれば、厚労省側に強くあった、1円でも給付額を減らそうとの意識が、恣意的な調査手法につながった可能性は否定できない。

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