日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、J1~J3の全54クラブのうち、3月決算の柏レイソル、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田、横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.横浜)を除く50クラブの2018年度の経営情報を開示した。50クラブ合計の営業収益は8年連続の増加で1146億円(前年度比131億円増)に達した。
楽天の三木谷浩史会長兼社長がオーナーを務めるヴィッセル神戸は、昨季途中に元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ選手が加入した。イニエスタ効果で営業収益は96.6億円(同44.2億円増)を計上。17年度の浦和レッドダイヤモンズ(レッズ)の79.7億円を抜きJリーグ過去最高を更新した。
イニエスタ選手の推定年俸は32.5億円の3年契約。FCバルセロナでの年俸は10億円だったといわれており、神戸はその3倍以上を払う。
ヴィッセルと同様に楽天が運営するプロ野球球団、東北楽天ゴールデンイーグルスに所属する選手全体の年俸の合計は、18年シーズンが27.7億円だったので、イニエスタ選手1人で球団の年俸合計を上回る。
イニエスタ選手を除くと、Jリーグにおける最高年俸額はヴィッセルでチームメイトのルーカス・ポドルスキ選手。移籍時に公表された年俸は6億円。ポドルスキ選手は母国ドイツの代表チームの中心メンバーとしてFIFAワールドカップで優勝経験があるトッププレーヤーだ。イニエスタ選手の年俸は、そんなポドルスキ選手の5.4倍。超弩級のスーパースターを手に入れたといえる。
その効果がヴィッセルの運営会社、楽天ヴィッセル神戸の決算に表れた。営業収益96.6億円の内訳はスポンサー収入62億円(同28.5億円増)、入場料収入8.4億円(同3.2億円増)。その他収入16.1億円(同11.2億円増)。スポンサー収入は楽天から支払われた広告料などで、その他収入には2人の有力選手の内外のチームへの移籍金が含まれている。
一方、営業費用は76.4億円で、人件費は44.7億円(同13.7億円増)。J1平均のチーム人件費23.3億円の1.9倍だ。
チーム人件費の増加額がイニエスタ選手の推定年俸よりも少ないのは、18年度はプレーしたのが半年間だったためだ。
今年度はイニエスタ選手の推定年俸32.5億円が丸々支払われることになる。イニエスタ選手の推定年俸はレッズのチーム人件費31億円より多い。
スポンサー収入が大幅に増えたため、人件費の増加を補い当期純利益は10億円。一方、17年度は1.5億円の赤字で債務超過寸前に陥っていた。親会社の楽天が大盤振る舞いした結果、黒字に転換して、10億円の当期純利益を叩き出したという構図である。
さらに今季は、元スペイン代表のダビド・ビジャ選手(推定年俸3億円)が加わる。イニエスタ、ポドルスキ、ビジャの3選手の推定年俸の合計は41.5億円。昨年度のチーム全人件費に、ほぼ匹敵する。