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銀行、ビジネスモデルが機能不全…独占してきた従来業務がスマホ・SNSに奪われる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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「gettyimages」より

 7月10日、地銀最大手の横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下)と第3位の千葉銀行が業務提携で基本合意した。現時点で両行の経営統合は検討されていないものの、地銀上位行同士の業務提携は地銀関係者に「業界の再編が加速するのでは」との緊張感を与えただろう。

 冷静に考えると、今回の提携は経済合理性にかなっている。横浜銀行と千葉銀行は、共に首都圏を地盤とし共通点が多い。両行にとってシェアを競うよりも提携によってビジネス面での関係を強化しつつ、システムの共同開発などを進めることは経営効率を高める上で重要だ。また、今後予想される経済環境の変化に対する適応力を高めるためにも、今回の提携の意義は大きいはずだ。両行は提携を深め、新しいビジネスモデルの確立を目指すことになる。

危機感高まる地銀を取り巻く経営環境

 横浜銀行と千葉銀行が業務提携を発表した背景には、今後の事業環境への危機感がある。

 国内では、少子化と高齢化、人口の減少が3つ同時に進んでいる。これは、日本経済の実力(潜在成長率)の低下にかかわる問題だ。潜在成長率が低下すると資金の需要は低迷し、銀行が融資などを行うことによって利ザヤを確保することは難しくなる。日本の銀行にとって、融資業務は安定して収益を稼ぐために欠かせない。人口減少は、従来の銀行のビジネスモデルの機能不全につながる。

 時間の経過とともにオーバーバンキング(預金を取り扱う金融機関の数が多すぎるということ)の問題は深刻化するだろう。大手行に比べて経営規模が小さく体力が限られている地銀にとって、独力で期待収益の高い海外事業を強化したり、ITを用いたビジネス強化に取り組んだりするハードルは高いといえる。

 2019年3月期の決算を見ると、地銀全体の70%が最終減益に陥った。資金需要の低迷から融資による収益確保が難しいなか、多くの地銀は内外債券のディーリングなどを重視して収益を確保しようとしている。

 ただ、資産の価格には不確実性(リスク)が伴う。昨年9月から10月上旬に米金利が大きく上昇したことは、そのよい例だ。有価証券の運用に依存して持続的に収益を獲得し、経営を安定させることはかなり難しい。

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