銀行員は、お金にまつわる人間模様を多く見ているので、どのような人にお金が集まるのかを知っています。正社員のみならず、月収10数万円台のパートの女性でもお金を貯めています。働いていると自然に身につき、年収や能力など関係なく、お金が貯まりやすくなる秘訣があるとのこと。
今回は、メガバンクの元行員で、『銀行員だけが知っている~なぜかお金に好かれる人の小さな習慣』(PHP文庫)を7月に上梓した、マネー戦略プロデューサーの長岐隆弘氏に銀行員のお金の管理法について話を聞きました。
●財布の中身を完璧に把握している
–銀行員はお金のプロというイメージがありますが、一般のビジネスパーソンと比較して大きく異なるところはどこでしょうか?
長岐隆弘氏(以下、長岐) まず、今、自分の財布の中にいくら入っているか、正確に言うことはできますか? 正確に把握していない人も多いのではないでしょうか。誤差が500円以内なら優秀だと思います。お札の枚数が違った人、特に万単位で間違った人は、お金に好かれない人です。なかなかお金を貯められないタイプである可能性が高く、要注意です。ところで、銀行員は恐らくほぼ全員が数百円の誤差の範囲内で正確に答えられるはずです。これは銀行員特有の意識によるものだと考えています。
–特有の意識とは、どのようなものですか?
長岐 「時は金なり」ということわざがあります。銀行員は「管理」をすることに長けています。時間もお金も管理する側にいるのです。例えば、電車やバスで行ける場所へ、時間に追われてタクシーに乗ってしまうようなことや、空き時間ができてしまい喫茶店でコーヒーを飲みながら時間つぶしすることなど、あってはならないと考えています。これらの例は、お金も時間も管理できておらず、無駄遣いをしているといえます。
–ほかにも特徴的な考え方はありますか?
長岐 不要なモノに、お金は使わないということです。当たり前のように思えることですが、銀行員は日常の出費を必要最低限に抑えて生活している人が少なくありません。貯金する分はきちんと確保しながら、ボーナスが出た時には普段できないことをきっちり楽しむなど、メリハリをつけて生活を充実させています。
例えば、デパートなどのバーゲンに買い物に行った場合に、銀行員は目当てのものがなかったら何も買いません。その場でほかに何か欲しくなったとしても、「いま不要なものは買わない」という意識がそうさせているのです。