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銀行、ビジネスモデルが機能不全…独占してきた従来業務がスマホ・SNSに奪われる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 収益の落ち込みをカバーするために、大手銀行だけでなく地銀も政策保有株(持ち合い株)を売却せざるを得なくなっている。まさに、資産の売却によって利益を捻出せざるを得なくなっているのが実情だ。政策保有株の売却に関しては、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)においても削減に関する方針の説明が求められている。多くの地銀が、目先の収益をどう確保するか、深刻な状況に直面している。横浜銀行と千葉銀行は、アライアンスを通してより効率的にビジネスを行い、この問題に対応しようとしている。

新しいビジネスモデルへの試みは急務

 もうひとつ、横浜・千葉両行には、銀行の新しいビジネスモデルの確立を目指す考えもあるはずだ。重要なのが、先進のネットワーク・テクノロジーと金融理論を融合したフィンテック・ビジネスへの対応だ。人口の減少とは別の側面からも、銀行のビジネスモデルは変化している。

 まず、ネットワーク・テクノロジーの進歩は、銀行に業務効率化のチャンスを提供している。銀行には、装置産業としての側面がある。つまり、システム投資にはかなりの資金と人手がかかる。一方、現在では分散型のネットワーク・システムであるブロックチェーンを用いることで、システム運営のコストを抑えつつ、より効率的にデータや情報を管理することが目指されている。ブロックチェーンの実用化が本格的に進めば、銀行は人員を他の業務に配置し直し、新しい取り組みの加速や顧客サービスの向上を目指しやすくなるだろう。

 また、ネットワーク・テクノロジーの普及とともに、銀行への脅威も増えている。特に、スマートフォンの登場とSNSの普及は、銀行が一手に担ってきた資金決済や信用審査・創造が異業種に流れ出す契機となった。

 スマホ決済や個人の信用力評価(スコアリング)を用いた与信、不特定多数の人から資金を調達するクラウドファンディングはその代表例だ。私たちの日常生活を振り返っても、スマホアプリの使いやすさ、アプリ使用によるポイントの獲得などは、どの企業・金融機関のサービスを使うか、判断を左右する。

 見方を変えれば、与信管理などを強みとしてきた銀行が、ICT(情報通信技術)を用いたフィンテック・ビジネス開発競争を有利に進めることができるとは限らない。目先の収益獲得を追求するあまり、長期的なビジョンに立った銀行の経営改革が遅れてしまう恐れもある。これは地銀にも大手行にも共通するポイントといえよう。

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