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小笠原泰「日本は大丈夫か?」

日産、“死に体”に…ルノー&経産省のダブル支配で経営機能不全

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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日産、西川社長が辞任へ 役員報酬の不正受領で辞意(写真:つのだよしお/アフロ)

想定外の西川社長電撃辞任

 日産自動車の2018年度決算は、売上高が前期比3.2%減の11兆5742億円、純利益が同57.3%減の3191億円と低調に終わり、日産との経営統合を狙うルノーとの水面下の駆け引きはあったものの、注目されていた6月の株主総会をなんとか乗り切った。そのため西川体制は、ガバナンスに関する批判を受けつつも経産省の後ろ盾もあり、しばらくは継続すると筆者は考えていた。

 ところが今月9日、日産は西川廣人社長が不正報酬問題を理由に16日付で辞任すると発表。まさに、電撃辞任である。これは、経産省としてはあまり歓迎できることではないが、不正報酬なので致し方ないという判断だろう。この辞任劇は、経産省の日産奪還シナリオにどう影響するのであろうか。

着々と進められた経産省の日産支配

 現在、日産の社外取締役である豊田正和氏は経産省で経済産業審議官などを歴任し、水面下で日産と検察によるゴーン氏への調査が開始された昨年 6月に、日産の社外取締役に就任している。さらに、ルノーによる日産統合の動きが強まっていた時期でもあり、経産省としてはそれを阻止しようという意図があったと考えられる。ゴーン氏追放後を睨んで、お目付け役として豊田氏を送り込んだわけである。

 豊田氏はゴーン氏追放後、着々と日産での地歩を固めていく。日産はゴーン氏の不正報酬問題に鑑みて、昨年11月22日の取締役会にて豊田氏、井原慶子氏、ジャンバプティステ ドゥザン氏からなるガバナンス改善特別委員会を設置した。そして、ルノーからの影響を弱めるために指名委員会等設置会社への移行を表明し、今年6月25日開催の定時株主総会にて承認され、指名委員会委員長に豊田氏が就いた。ルノーとの交渉における日産側の要求書は、西川社長と豊田氏が中心になって作成していたとの報道もある。

経産省のシナリオの狂いは、株主総会後の波乱

 経産省の思惑通り、ガバナンス改善特別委員会は3月にまとめた提言で、ゴーン氏ら外国人経営者の不正は厳しく断じたが、その不正をゴーン氏の側近として見逃してきた西川氏の責任には一言も触れなかった。経産省としては、これをもって西川氏の禊は終わりというかたちにし、鬼門といわれた株主総会を乗り切り、西川体制のもとでルノーからの独立を進め、日産を純然たる日の丸企業にするという国策を進めるつもりであったのであろう。

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