鳩山由紀夫元首相は10月25日、「第1回共和党結党準備会」を東京都内で開いた。9月に上梓した『次の日本へ 共和主義宣言』(詩想社)の共著者である首藤信彦元衆議院議員と新たな政治運動を始め、新党結成も視野に入れることを発表した。
一方で、鳩山氏は「まだ党ができているわけでもなく、私が政界復帰を決めたわけではない。しかし、共和主義の考えに基づき、周辺諸国と仲良くし、国民の幸せを追求する政治システムをつくることは言い続けたい」「共和党ができるかはみなさん次第」と語った。また、首藤氏は新党の目標として、2030年までに30人の国会議員を誕生させ、40年までに単独あるいは連立政権を樹立するプランを披露した。
鳩山氏は、新党が結成されれば次の衆議院議員選挙で戦うことも示唆している。しかし、準備会には現役国会議員の参加はなく、新党が結成されるかどうかは今後の政治情勢によるのが実情だ。12年に政界を引退後、シンクタンク「東アジア共同体研究所」を設立し、現在は同所の理事長を務めている鳩山氏。7年間の沈黙を破り、この準備会で共和党構想について講演を行った。以下、その様子をお伝えする。
7年間の沈黙を破った理由
みなさんから、「今の日本の政治は鳩山自身に責任があるのではないか。そんな人間が新たな政治勢力をつくろうというのか。けしからん」というご批判もあろうかと思いますが、それはある意味その通りで、私は7年前に政治家を引退した人間です。当時、「政治主導」や「官から民」をスローガンにし、民主党政権のもと首相に就任しました。
しかし、官から表裏さまざまな妨害を受けました。私がやりたかった、アメリカに依存しすぎている日本を本当の意味での独立国に生まれ変わる努力をしたつもりです。普天間基地問題についても、最低でも県外、できれば国外に移設しようと努力をしましたが、その思いは届かずに、みなさん方に大変な迷惑をかけ、その責任を取って首相を辞めた人間です。
この7年間、日本が国際的に名誉ある地位を占めているのであれば、私は退いているほうがいいのでしょう。国会の中で多数を占めている安倍政権ですが、国民のための政治になっているかといえば、クエスチョンマークがつくのではないでしょうか。そこで、私どもは、共和主義という考えに基づく政治が重要であると思い至りました。
安倍政権では解決できない日本の諸課題
日本の課題はさまざまあります。まず、急激に劣化する地球環境への日本の対応は極めて遅く、不足しています。このままでは、21世紀の世界の人々は9割が生き残れないという識者の判断もあります。地球変動や温暖化に歯止めがかけられていません。大企業におんぶにだっこの政治では、なかなか大胆なことを決められないのではないでしょうか。
私は2009年に国連で首相として演説し、1990年比で2020年までに温室効果ガス25%削減の公約を発表しました。それが、残念ながら2011年の東日本大震災で福島第1原発が事故に遭い、日の目を見なくなりました。パリ協定を強化していくために日本が大きな役割を果たすべきで、日中韓の3国が先頭を切るべきではないかと考えています。このままでは、太平洋の島しょのいくつかが消滅する危機が迫っています。