次に、激変する東アジアに対応できておりません。ようやく日中関係はよくなったと言われますが、習近平国家主席が安倍首相に信頼を置いているかといえば、そうではありません。安倍首相は、経済については握手をしようと言いつつも、沖縄の与那国島に自衛隊を増派し、ミサイル基地を設置しようという発想になっています。一方で握手をし、一方でげんこつを握ることで、果たして中国の多くの方々の共感を得られる日本になるのかと心配しています。
それ以上に、日韓関係がひどい状況になっています。戦後最悪な状況になった日韓関係の背景には、徴用工の問題を指摘せざるを得ません。この元徴用工の問題は、日韓基本条約、日韓請求権協定により、国と国との間で問題は解決したことについては間違いではありません。しかし、国際人権規約があり、1979年に日本も批准をしており、日本も国際人権規約に沿わなければなりません。ですから、解決済みと主張することはできないのです。
国同士が結論を出したとしても、個人の請求権が奪われることはありません。外務省はそのことを知っているのに、おくびにも出しておりません。そこで、安倍首相も「国際法を守っていないのは韓国だ」と言わんばかりに主張していることは、正しい姿勢ではありません。厳しい状態の日韓関係をこのまま続けていいと思う方々は、多くありません。やはり、隣国とは親善関係を築いていくべきです。そういうなかで、日本の対応のあり方が今、問われています。
北朝鮮問題でも、安倍首相は金正恩委員長と無条件で会談したいとの意向を示していますが、北朝鮮側は「無条件というのであれば、なぜ経済制裁を科したままでいるのか」という意見です。もし本気で北朝鮮問題を解決したいのであれば、制裁を解いて1対1で会談しようというのが金正恩委員長の意見です。
一方で、アメリカの武器を大量に購入することを決め、アメリカに依存する政治が続いています。畜産業界も、今後厳しい状況になるのではないでしょうか。自動車の関税も、今後も楽観できない状態が続いています。アメリカは日本に対して保護者として守ってあげる姿勢でしたが、ここに来て、むしろ収奪者に変貌しています。このままアメリカに追従した外交でいいのでしょうか。
また、行政も政治も嘘、隠蔽、捏造がまかり通っています。私自身も、かつて外務省がつくったペーパーによって辺野古移設に戻らされた経験がありますが、外務省はそのペーパーの存在すら認めていない隠蔽工作が堂々と行われています。日本は本来、三権分立していなければならないのですが、司法、立法、行政の三権のすべてが官邸を向いています。