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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

書類上の価格・数量減らし税金圧縮→税務調査で追及逃れられず多額の追徴課税!

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「Getty Images」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。口癖は「認定賞与」です。

 輸入業で散見される不正取引に「アンダーバリュー」があります。関税や消費税を圧縮するために、書類上の価格や数量を減らす方法で行われます。たとえば、100万円の取引なのに税関で「50万円の取引です」といえば、その分、税額が少なくなります。通常の取引価格に比して著しく価格が低ければ容易にバレてしまうので、「サンプル」と偽って輸入する人間もいます。「一部は無料サンプルなので、価格が安い」と主張するようです。

 また、無償提供分を含めることで、単価を下げる方法もあります。輸入取引の場合、不良品の返金に応じてくれないことがあります。しっかりとした業者なら、不良品の混入割合というのはわかっているので、あらかじめ不良分を上乗せして配送してくれることがあります。そうすると、「代金は100個分だけど、配送は110個」というような取引が発生します。これを装って、税関で商品の単価を下げて申告する人間もいます。

 アンダーバリューは、税関のシステム「NACCS(ナックス)」によって判明します。ナックスは、輸出入の膨大なデータを保有しており、取引相場や基準価格と取引価格に乖離があると、わかるようになっています。これは「レンジアウト」と呼ばれ、輸入業者の不正防止に役立っています。

 また、税関以外でもアンダーバリューが判明することがあります。それが、税務調査です。

税務調査でボロが出る

 海外から食品を輸入し、自社の小売店で販売している会社がありました。店には、コーヒーや調味料、クッキー、パスタなど数千点の商品が並びます。アルバイトを含む従業員は300人を超え、売上は堅調です。準備調査では、アンダーバリューの疑いもあるとして、取引先との記録を洗うことになっていました。

 税務調査当日の午前9時、本店、代表者宅、代表者愛人宅、支店、倉庫に臨場しました。代表者宅で、代表取締役社長本人に調査開始を告げ、一斉に調査着手しました。無予告での調査に驚いていた社長は、なかなか口を開きませんでしたが、時間がたつにつれ観念したのか、関税、消費税を逃れるためにアンダーバリューを行っていた事実を明らかにしました。

 税関での申告時には価格を下げて税を圧縮したが、実際には、その数倍の取引金額であり、帳簿上は正しく記帳していると、請求書を提示して主張したのです。この主張が正しいとなると、税務調査で否認できる内容ではなくなってしまいます。

 さらに、輸入申告をしていないハンドキャリーの仕入れがあるため、保存してある請求書などより、在庫の数は多いと主張しました。ハンドキャリー、つまり手荷物で社長自らが仕入れをしていたというのです。その量は年間で100キログラムを超えていました。しかし、社長の海外渡航回数、航空機に乗せられる荷物の上限、当日の様子などを聞き取ると、論理的な矛盾が感じられます。

 贔屓目に見ても怪しい。そして怪しいと思えば、税務調査ではとことん追及します。結局、社長は追及に耐えきれず、架空仕入れを計上していたことを認めました。書類を改ざんして架空仕入れを計上したけれど、税関をどうやってすり抜けたのか問われたときの答弁を考えていなかったようです。「手荷物で運んだ」といえば、それ以上追及されないと思ったのでしょうか。ワイン2、3本ならともかく100キロ以上の荷物を、店舗をいくつも構えたその道の成功者が運ぶとは思えません。

 仮装・隠ぺいがあるので重加算税の対象となり、本来納めるべき税金の35%増しの納税額になります。さらに、利息もつきます。利率はその年によって異なりますが、およそ年9%です。

 輸入取引があるから、「ハンドキャリーで仕入れた」と言えばバレることはあるまい、と思うかもしれません。しかし、大抵のことは調べればわかりますし、話をずっと聞いていれば綻びが生じます。同業者たちは、やることも、その方法もほとんど同じです。

 無理な不正はせず、正しく申告して会社を大きくすることを考えたほうがいいと思います。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

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