10月1日から、消費税10%がスタートした。今回の増税対策として、軽減税率、キャッシュレス決済のポイント還元、教育無償化、年金世帯向け給付金、プレミアム付き商品券など、手厚い負担軽減策が講じられているが、「しくみが複雑」「わかりにくい」といった声も多いように感じる。
とくに、キャッシュレス決済のポイント還元については、国がキャッシュレス普及を強く推進していることもあって、さまざまなキャッシュレス決済サービスが次々と立ち上がっている。その一方で、高齢者を中心に、「何をどうすればオトクなのか、まったくお手上げ状態」と途方に暮れている方も少なくない。
そこで、今回のコラムでは、消費増税の家計への影響を不安視する高齢期の親世代に対して、子ども世代がどうアドバイスすべきかまとめてみた。
高齢者はキャッシュレスに無関心なわけではない
筆者は、消費増税に向けてセミナー等で対策をお話する機会があり、参加者の中に70~80代の方も多数お見かけする。その際に「キャッシュレス、ご利用されていますか?」と質問すると、首をフルフルと横に振る高齢者が大多数を占める。その理由として「しくみや手続き方法がよくわからない」「使い過ぎが怖い」などの声があがる。なかには、胸を張って、「私は以前からキャッシュレスです。現金はほとんど使っておりません」という“意識高い系”の高齢者(おもに男性)もおられるが、おそらく少数派だろう。
しかし、高齢者が、キャッシュレスについてまったく興味や関心がないかといえば、そうではない。あるシニア向け雑誌を発行する出版社が企画した、シニア限定のキャッシュレス講座には、女性を中心に60~70代の応募が殺到したという。
全国の20~69歳を対象にした「消費税増税」に関する調査(※株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント「「消費税増税」に関する調査」(2019.9))によると、「消費増税後、変わるかもしれないと思う生活行動」について、「ポイント還元のある店でのキャッシュレス決済を増やす」と回答した人が全体で27.5%だった。とくに女性は、40代(30%)、50代(36%)、60代(37%)と年代があがるにつれて、その傾向が強く表れている。もともと女性はクレジットカードやポイントカードに馴染みがあるだけに、ポイントがつくなら抵抗感なく受け入れられるのかもしれない。
それに現役世代よりも資産残高が高く、経済的余裕がありそうであっても、高齢者は新しい収入源が見込まれにくい。今の生活を維持あるいは家計を守るために、何か確実におトクになるのであれば、やってみたいと考える方が少なくないということだ。