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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

高齢者が陥りがちな間違った「キャッシュレス対策」!“選択肢を絞る”が重要

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

「キャッシュレス・ポイント還元事業」とは?

 とはいえ、今回のキャッシュレス決済ポイント還元は、選択肢が複数ある上、事前手続きが必要なものがあったり、オトク度が異なっていたりして、どれを選ぶのがベストなのか個々に変わってくる点がやっかいでハードルが高い。

 そもそも、キャッシュレスとは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、口座振替を利用して、紙幣や硬貨などの現金を使わずに支払い・受け取りを行う決済方法のこと。そして、現在実施されているキャッシュレス・ポイント還元事業とは、消費税率引上げ後に2020年6月までの9カ月間限定で、中小企業・小規模事業者によるキャッシュレス手段を利用したポイント還元を支援する事業である。

 対象となる加盟店でキャッシュレス決済をすれば、中小企業・小規模事業者が運営する店舗では5%、コンビニエンスストアなどのフランチャイズチェーン店舗では2%が還元される。いわば、国が実施するポイント還元キャンペーンなのだ。しかも、さらに事業者が独自のポイント還元制度も上乗せで実施しており、競争が激化している。

 ちなみに、2019年度予算で確保されたポイント分の原資は約1,800億円。経済産業省の発表によると、10月1日から21日までの1日当たりの平均決済額は約273億円で、還元額は10億円強だったという。このペースで増え続ければ、予算が枯渇する可能性もあるが、仮に予算が足りなくなっても、財務省と相談するというから、なんとも太っ腹なお話だ。

 とはいえ、幅広い年代が使いやすいように利便性を向上させ、消費者側の行動変容を促すような金銭教育を行っていかなければ、キャッシュレス決済がどれほど広がるかは甚だ疑問である。

子どもが親にアドバイスすべきは選択肢を絞ること

 そこで、今回のテーマである高齢の親に対して子どもがどうアドバイスすべきかについて。

 重要なのは選択肢を広げることではなく、絞ることだと筆者は考えている。つまり、「何をやるか」ではなく、「何をやらなくても良いか」を振り分け、親にとって必要な情報だけを伝えるわけだ。

 高齢の親世代にとって、大量かつ日々更新される情報を取捨選択し、活用するといった作業は子ども世代の想像以上に大変でストレスがたまるものであることを理解してほしい。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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