日本経済新聞が6日に公開した自社の企業CM『世界を変えよう宣言篇』で、韓国国旗の太極旗が島根県竹島に掲げられている動画が挿入されていたとして、インターネット上で物議を醸している。
問題とされるCMでは次のようなナレーションとともに、世界各地に翻る各国の国旗の映像が流れた。
「たとえ国境が何百年も変わらなかったとしても、技術による変化は国を超え、言語や文化を超え、人々の生活を次々とアップデートをしていく。あなたが今、どこで暮らしていたとしても、その手には何億人も明日をよくするそんな力がある」
画像・動画素材サイトに同じ映像が
その中で、韓国の太極旗は海に面したレーダー通信施設らしき建造物の前に掲げられていた。旗のポールの横には戦闘服にヘルメット姿の人物がたたずんでいる。ちなみにこの映像は画像・動画素材サイトgetty imagesが「View of Korean Soldier(Dokdo Guard) Being on guard on the Dokdo Island(Natural Monument Heritage and one of most famous island in Korea) in South Korea」(原文ママ)との説明で配信していた。
竹島に翻る韓国旗の映像に対してTwitter上では、日経の不買運動を促すような批判まで出始めている。
「日経新聞は、このCMの製作会社を明らかにし日経としてのコメントを出す必要がありますね」(原文ママ、以下同)
「日経は金輪際買わない」
「業務上仕方なく取ってましたが購読をやめようと思います」
日経「誤解を招く表現があった」と謝罪
こうした事態に日経広報室は7日、公式Twitter上で以下のように謝罪した。
「弊社CM『世界を変えよう』宣言篇の一部に誤解を招く表現があったため、ネット上からこの動画を削除いたしました。確認作業が不十分でした。不快な思いをおかけしたみなさまにお詫びいたします」
ここで気になるのは日経が弁解する「誤解を招く表現」「確認作業が不十分だった」とはどういうことなのかということだ。
広告代理店関係者は次のように今回のCMに関して語る。
「竹島に韓国警察の特殊部隊『独島警備隊』が駐留していることは、日本国内の世論の賛否にかかわらず事実です。また竹島に居住している日本人島民がゼロであること、日本政府や島根県の行政機構が同島に所在していないこともまた事実です。どれほど日本国民の不興を買っても、その行為が国際的に不当であっても、そうした観点から言えばあの映像に嘘や紛らわしい表現はないともいえます。
ただ通常、竹島などの領土問題は広告ではタブーです。どう描いても不快な人はでてきます。今回は新聞社の自社広告です。『社会・経済の問題点を明らかにする』『事実を報じる』ということが一番強いテーマになる場合が多く、今回のCMもそうした制作意図があったのかもしれません。
しかし韓国国旗の動画や画像はほかにもたくさんあるのに、どうしてあの映像を使ったのでしょうか。非常に印象的な映像ですし、単純によく考えずに使用したという言い訳は少々、苦しいでしょう。広告局が外注の制作会社に丸投げして、日経本社がよく確認せずに公開したのかもしれませんが、少なくとも制作サイドがなんの映像だったのかわからないわけはないと思います」
当サイトでは、日本経済新聞広報室に事実関係を尋ねたところ、以下のような回答を得た。
「『世界を変えよう』というCMに確認不足で竹島の映像を使用しました。本来伝えたかった意図とは異なり、不快な思いをされたとの声が寄せられたため、ネット上の動画を削除するとともにTwitterでお詫びを掲載しました。今回のCMは国旗に関連した様々な動画を収集しながら作り上げていきましたが、確認作業が不十分でした。今後、社内のチェック体制を強化していきたいと考えています」
(文=編集部)