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日本が見習うべき米国のコロナ感染対策&スピード現金給付…現地のスーパー事情レポ

文=後藤豊/フリーライター

 新型コロナウイルスの感染者と死亡者数の割合を比べてみると、国別で大きな違いあることが見えてくる。日本国内の両者の比率は、感染者数1万9人に対して死亡数は203人(いずれもクルーズ船含む、4月17日現在)。致死率は2%である。

 対して、アメリカは深刻だ。世界でもっとも被害が大きく、感染者数64万8788人に対して死亡者数は3万1590人。致死率は4.9%と、日本の2倍を超える。だからだろうか。アメリカの感染防止に対する意識は、日本よりはるかに高いものがある。

日本より切迫している米国のスーパー事情

 全米で最多の感染者が発生しているニューヨーク州から車で2時間弱のコネチカット州は、感染者2243人に対して死者133人(日本時間4月14日現在)。致死率は5.9%と、全米の平均を大きく上回っている。

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コネチカット州の感染者数と死亡者数。深刻な数字だ

 そのためか、住民のコロナ感染防止の意識はものすごく高い。その一例が、スーパーマーケットだ。入口に係の人が立ち、客の入店を制限している。1組が店を後にすると1組を入れる、という方式を取っているのだ。

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スーパーの入口における入店制限。午前11時と早めの時間帯だ

 店内には一方通行を示す貼り紙が貼られており、人気の精肉売り場の前などは、客同士で一定の距離を取るよう足元に目印がある。日本のスーパーでは、いまだに目にしないような対策が取られているのだ。

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日本では目にしない「One Way」の文字
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精肉売り場では2m弱の間隔で目印が。肉食のアメリカらしい対策だ

 新型コロナウイルスは高齢者の死亡率が高いためか、朝7時のオープンから1時間は「60歳以上限定」としている店が多く、60歳以下の客は行っても待たされるという。身分証明書の提示を要求されるほど厳しくはないが、高齢者の感染リスクを少しでも下げるための入店制限なのだろう。

客もマスクに手袋、響く「触るな」の声

 コネチカット州に住む筆者の弟は、次のように語る。

「野菜はやわらかさを確かめるために触ったりしたいけど、今はできない。周りの人にジロジロ見られるし、触って買わないと『Don’t touch!』と言われることもある」

 買い物の際、マスクとともに着用するのが手袋だ。

「タクシードライバーのように薄い手袋をつけているよ。陳列されている商品は誰が触ったかわからないから、念のために手袋をしているんだ。家に帰ると、すぐに洗濯する」

 そして、ほとんどの客がクレジットカードで代金を支払っているという。

「キャッシュだと、ウイルスが付着する可能性があるからだろうね。もともとカード社会だったけど、今は一段と加速している」

 一方、トイレットペーパーやキッチンペーパーが品薄になるのは日米共通のようで、「『1人1パックまで』と書かれている。除菌クリーナーもなかなか手に入らない」という。

 レジ付近にも一定の距離を保つようにテープが貼られ、レジには防菌用のアクリル板が設置されている。日本のスーパーやコンビニでもレジカウンターにビニールシートが吊り下げられており、同じような光景を目にした人は多いだろう。

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アクリル板が設置されたレジ。日本でもビニールシートが備えられ始めている

「アクリル板の手前で客が商品のバーコードをレジ係に向かって出すと、店員が手を伸ばしてバーコードリーダーを当ててスキャンすることもできる」

 この話を聞いた日、弟の銀行口座に3000ドルを超える現金が振り込まれたという。日本円にして30万円以上だ。アメリカ政府は緊急経済対策として大人1人当たり最大1200ドル(約13万円)、子ども1人あたり500ドルを超える額の給付を決めており、すでにその入金が始まっているのだ。

 一方、日本政府は二転三転した末に、ようやく国民1人当たり一律10万円の現金給付を行うことが決まったが、そのスピード感の差は歴然だ。

(文=後藤豊/フリーライター)

後藤豊/ライター兼タクシードライバー

後藤豊/ライター兼タクシードライバー

1966年千葉県生まれ。東京都内の中小会社でタクシードライバーを兼務するライター。競馬と野球をメインに、雑誌や書籍で執筆をしている。主な著書に『テイエムオペラオー伝説』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(ともに星海社、共著)などがある。

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