JR東海の悪夢…東海道新幹線の利用者94%減の一方、リニア建設費3800億円の負担の画像1
JR東海車のN700系(「Wikipedia」より/JobanLineE531)

 東海道新幹線は前回の東京オリンピック開会直前の1964年10月1日に開業した。それから半世紀あまり。今年開かれるはずだった2回目の東京五輪はコロナ禍で延期になり、東海道新幹線は苦境に立たされた。

 JR東海はゴールデンウィーク(GW)期間を含む4月24日~5月6日の東海道新幹線や在来線特急の利用者数が前年同期に比べ94%減ったと発表した。期間中の輸送人員は新幹線が94%減の29万2000人、在来線特急が96%減の1万1000人だった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言により、帰省やレジャーといった外出の自粛が強まった影響をモロに受けた。人の移動がなければ新幹線は空(から)になる。

 JR東海は今後の利用客の動向を明らかにしていない。「新幹線の5月の輸送人員は前年比9割減」という情報があるが、非公式なものだ。国の緊急事態宣言の延長を踏まえ、JR東海は東海道新幹線の最速列車「のぞみ」の運行本数を2019年度の平均と比べ6割削減した。5月11日から1時間あたり約3本、山陽新幹線に直通するのぞみは同1~2本程度になった。東海道新幹線は4月24日から臨時列車をすべて運休しており、定期列車の削減にも踏み込んだ。「ひかり」や「こだま」は運行本数を減らさないため、東海道新幹線全体でみると1日約250本の運行と、19年度比で3割強の減便となった。その後、新幹線は徐々に本数を元に戻しているが、コロナ前の水準にはほど遠い。

輸送量は2月が8%減、3月が59%減、4月が90%減

 JR東海の20年3月期通期の売上高は前期比2%減の1兆8446億円、純利益は9%減の3978億円だった。純利益は従来予想(4260億円)より281億円下振れし、8年ぶりの減益となった。上期(19年4~9月期決算)は増収増益だったが、20年1~3月期の失速が通期の業績を悪化させた。

 20年1~3月期連結決算は、売上高が前年同期比16%減の3966億円、営業利益は61%減の442億円、純利益は85%減の97億円だった。減益の主因は新幹線の利用客の急速な落ち込みだ。20年1月まではビジネス客の出張や訪日外国人(インバウンド)の需要が追い風となり、前年同月比プラスで推移してきたが、2月以降、月を追って利用客が減った。新型コロナの影響が広がり始めた2月は輸送量が同8%減、3月は過去最大の減少率となる59%減。1~3月で見ると新幹線の運輸収入は2552億円と2割減った。

 JR東海の4月の東海道新幹線の輸送量は前年同月比で90%減。3月の59%減を大きく上回った。1カ月で1100億円の運賃収入の減少だ。4~6月期は過去最悪の決算となるだろう。金子慎社長は「会社発足以来の厳しい局面」とした。

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