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電通、「アマビエ」商標登録を出願していた…権利独占か、コロナ禍をも“儲けの道具”に

文=編集部
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アマビエ 弘化3年4月中旬(1846年5月上旬、江戸時代後期)刊行。木版画。京都大学所有、京都大学附属図書館収蔵。(Wikipediaより)

 新型コロナウイルス感染症に対する「疫病退散」の祈りを込めて、日本全国のクリエイターがイラストや漫画、動画、ぬいぐるみ、手芸、スタンプなどの作品制作を続けている日本古来の妖怪「アマビエ」。なんと、このアマビエに対して、電通が商標登録を出願していることがわかった。Twitter上では「#電通のアマビエ商標登録に抗議します」のハッシュタグが広がりつつある。

 電通は6月30日に、特許庁に「アマビエ」の商標登録を出願した。概要は特許庁公式ホームーページ(商標公開2020-073403)で確認できる。対象は188項目にもおよび、雑貨や電子出版物、各種プログラムなど、広告マーケティングにかかるほぼすべての権利に関して登録する方針だ。

日本古来の妖怪を商標登録?

 アマビエは江戸時代後期の瓦版を出典とする肥後国(現・熊本県)に伝わる怪異だ。夜の海に「アマビエ」と名乗る光り輝く異形が出現し、土地の役人に対して今後6年間の豊作と疫病の流行を予言。自分の姿を写した絵を人々に見せることを求めたという。漫画家水木しげる氏の「水木しげるの続・妖怪辞典」(東京堂出版)にも絵と解説が収録されている。

 この妖怪が注目を集めることになったのは、妖怪掛け軸専門店「大蛇堂」(おろちどう)が2月27日、この妖怪の解説とイラスト作品をTwitterに投稿したことが発端だった。新型コロナウイルス感染症が蔓延に対して「疫病退散にご利益があるというアマビエの力を借りよう」「新型コロナウイルス対策としてアマビエのイラストをみんなで描こう」という主旨だった。

 その後、プロ、アマチュアを問わず多くのクリエイターが「アマビエチャレンジ」「アマビエ祭り」などのハッシュタグをつけてさまざまな作品を投稿。熊本県のPRキャラクター「くまモン」(フリー素材)など、全国各地のご当地キャラとのコラボ作品がつくられたり、中小事業者のオリジナル商品も多数生産、販売されたりして、コロナ自粛下の経済盛り上げに一役買っていた。

高須院長も苦言「やめなさいよ。電通。」

 Twitter上では、電通のマーケティング戦略に怒りの声が上がっている。

「コロナ禍の中で日本人の心の支えになった妖怪アマビエ。世界にまで拡がり、認知されているのに。それを商標登録って…オカメインコを商標登録するようなもので、元々あるものの名前を使えなくさせたり、そこでお金を巻き上げるっておかしくないですか?」(原文ママ、以下同)

「電通は日本社会の敵とみなす。アマビエはあなた方が生まれるずう~っと昔にいたのどう説明なさるつもりですか?明らかに災いをもたらした隣国と同じ事をしていますよ」

 騒動の拡大に高須クリニック院長の高須克弥氏も以下のように、電通をたしなめている。

「やめなさいよ。電通。」

特許庁へ情報提供も可能だがハードル高い

 東京都内の弁理士は次のように話す。

「商標法には『登録ができない事例』が定められています。例えば、『自己と他人の商品・役務とを区別することができないもの』『公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの』『他人の登録商標や周知・著名商標等』に該当するものは登録できないことになっています。特許庁のホームページに例示もされていますが、具体的には以下のような場合です。

『外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていない事情を利用して、商標を買い取らせるために先取り的な出願をする場合』

『外国の権利者の国内参入を阻止したり国内代理店契約を強制したりする目的で出願する場合』

『日本国内で全国的に著名な商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではないが、出所表示機能を希釈化させたり、その信用や名声等を毀損させる目的で出願する場合』

 電通の申請意図がどのようなものかはわかりませんが、『中国など外国企業の商標登録を事前に防ぎ、この商標をあらかじめ取得した上で、電通が日本の代理店として外国で大量生産されるアマビエ商品を一括で取り扱う』という目論みがあるのなら、商標法第4条第1項に該当し、登録が認められない可能性もあります。

 日本古来の妖怪を商標登録するということが可能なのかという疑問もあります。いずれにせよ、公益にそぐわない商標登録に対して、国民や事業者は特許庁に書面などで『情報提供』ができます。匿名でも可能です。ただし、なかなか一般の人ではハードルが高いかもしれません」

 どうやら電通は新型コロナウイルス感染症をも、ビジネスチャンスにしようとしているらしい。空恐ろしい話だ。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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