JR東西、計6500億円赤字に激震…JR東海、リニア開業が不透明、巨額建設費用が重荷の画像1
4月17日、緊急事態宣言下の品川駅の電光掲示板。東海道・山陽新幹線が軒並み空席表示となっている。こうした事態が、JR各社の収益に悪影響を及ぼしたのは想像に難くないだろう。(写真:Getty Images)

 新型コロナウイルス感染症が収まらないなか、JR各社の苦戦が続いている。9月16日には、JR東日本とJR西日本が、2021年3月期通期の業績見通しを発表。両社とも過去最大の赤字を計上する見通しとなった。

 両社の業績予想によると、連結最終赤字がJR東日本は4180億円、JR西日本は2400億円。前期はJR東日本が1984億円、JR西日本が893億円の黒字だったので、両社とも1000億円単位で収支が悪化することになる。あわせて6500億円超という巨額赤字だ。

 新型コロナウイルス感染症が2020年春に流行してから、先行きが不透明として、両社ともこれまで業績予想の公表を控えてきた。

 しかし最近になり、新型コロナの状態もやや落ち着いてきたためか、業績予想の発表に踏み切ったようだ。JR東日本は、「夏期輸送の実績等を踏まえ、今後の収入動向等を一定程度見通すことができる状況となった」と、業績予想を開示した理由を説明している。

 JR東日本が発表した連結業績予想を詳しく見てみると、売上高に当たる営業収益が対前期比65.5%の1兆9300億円。うち、運輸事業が同58.7%の1兆1700億円、流通・サービス事業が同74.7%の3750億円、不動産・ホテル事業が同87.5%の3050億円である。

 つまり簡単にいうと、主力である鉄道事業の売り上げが6割弱まで落ち込んで、関連事業も7~8割にとどまる、ということだ。関連事業でも鉄道事業の落ち込みをカバーすることはできず、結果として、巨額の最終赤字を計上する見通しとなった。

来期以降の決算も引き続き厳しい見通し

 今回の業績予想での注目点のひとつは、JRの根幹である鉄道事業の見通しである。JR東日本が7月に発表した2020年4~6月期決算では、鉄道運輸収入が対前期比38.9%だった。今回の業績見通しでは、通期で同56.9%になるとしている。

 つまり、最悪期だった4~6月期に4割程度だった鉄道事業の収入は、通期でも6割弱にまでしか戻らない、とみているわけだ。同社では、2021年3月期末時点で、鉄道収入はコロナ流行前の75%程度の回復にとどまると予想しているという。

 理由は明らかで、テレワークの普及による出社回数の減少、出張の抑制。さらに、観光客の減少が追い打ちをかける。「Go Toキャンペーン」で国内観光客はやや回復しているようだが、近年の収益を支えた外国人観光客が戻らなければ、コロナ前までの回復はとても見込めない。そのため、JR東日本は通期で前期比6割に満たない鉄道収入と予想したわけで、2022年度以降も厳しい見通しをしているようだ。

大都市圏を抱えるJR東西は、通勤・通学需要の下支えで回復も早いか

 それでも、JR東日本は、首都圏の通勤・通学路線を抱えているため、まだマシなほうである。通勤・通学客は、出張や観光客に比べれば回復が早いからだ。実際、JR東日本の月次情報をみると、8月の定期収入は対前期比78.1%にまで回復している。これに対し、定期外の中長距離収入は23.8%にすぎない。

 JR西日本も事情は同じで、8月の定期収入は88.4%にまで回復したが、定期外は近距離が54.1%、中長距離が29.4%にとどまる。直近の9月7~11日(平日)の利用状況では、近畿圏が対前年同曜比65%なのに対し、山陽新幹線は33%、北陸新幹線は31%。通勤・通学客の多い近畿圏が、業績を下支えしていることがわかる。

 心配なのは、首都圏や近畿圏ほどの通勤・通学需要がないJR他社だろう。JR東日本、JR西日本以外は、いまのところ通期の業績見通しは発表していないが、厳しい数字になるとみられる。

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