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ユニクロに「ウイグル人強制労働に関与」疑惑について直撃…ウイグル協会「説明は不十分」

文=編集部
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ユニクロの店舗

 中国の人権侵害は深刻さを増している。特に新彊ウイグル自地区では、ウイグル人をはじめとするイスラム系少数民族を100万人以上強制収容しているといわれる。さまざまな調査団体の報告から、中国が「再教育施設」と称する施設に多くのウイグル人が収容され、強制労働や虐待を受けているとみられる。

 そんなウイグル人の強制労働によって綿花が生産され、その綿花を使用したアパレル製品が世界各国に輸出されているとの指摘がある。ウイグル地区で生産された綿花を購入することは、間接的に強制労働に加担することになりかねない。

 昨年11月、豪公共放送ABCが、無印良品とユニクロが「新疆綿」の名を付けた製品を販売していると指摘。

 今年3月には、豪シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」が、世界の有名企業少なくとも83社のサプライチェーンに組み込まれている中国の工場で、収容施設から移送された8万人以上のウイグル人が強制労働させられているとの報告書を発表した。そのなかには、日本企業11社も含まれている。

 それを受けて日本ウイグル協会は5月、指摘された日本企業11社に宛てて質問状を送付。回答を得られた企業の回答文をHPで公表している。1社返答していない企業があるものの、回答した企業は総じて、「強制労働を行っている企業との取引はない」と否定し、「人権を尊重する」との方針を打ち出している。

 ユニクロも「新疆ウイグル自治区で生産されている弊社製品はございません」と回答している。また、「サプライチェーンにおける労働環境や人権を守るための『生産パートナー向けのコードオブコンダクト』を2004年に制定し、全ての生産パートナーに遵守を求めています」として、取引先やその先の原料調達元に至るまで、人権を尊重するように配慮していると強調している。

 だが、この回答後、ユニクロの一部製品に新疆綿が使用されているとの指摘がインターネット上で飛び交った。ネット上で出回っているユニクロ製品は「コットンカシミヤ」で、その製品タグには「新疆ウイグル地区の豊かな土壌のもとに栽培された、繊維の長い良質な綿素材」との謳い文句が書かれている。

ユニクロに問い合わせて得た回答

 そこで、Business Journal編集部は、ユニクロにこの写真の真偽と先のウイグル協会への回答との整合性について問い合わせた。ユニクロの回答は以下の通り。

「お問い合わせいただきました商品タグに関して弊社で確認したところ、当該タグは、2008年に生産されたユニクロ製品のものであることが確認できました。この製品は、現在は販売しておりません。

 弊社は、いかなる人権侵害も容認しないという方針の下、あらゆる形態の強制労働を厳格に禁止し、サプライチェーンのすべての企業にその順守を求めています。ウェブサイトでご覧いただきました通り、弊社ユニクロが製品の生産を委託する縫製工場で新疆ウイグル自治区に立地するものはなく、同地区で生産されている製品はありません。

 さらに、素材サプライヤーに対しては、調達する綿花の生産においても強制労働がないよう求めています。

 現在ユニクロでは、国際基準に則って、農家における強制労働や児童労働がなく、人権や労働環境が適正に守られていることが確認された、サステナブルコットンのみを使用しています。

 弊社では引き続き、製品が倫理的な環境で生産されていることを確認するため、サプライチェーン全体のデューディリジェンスを実施しています。万一、報道されているような強制労働が確認された場合には、取引先工場に対し、当該サプライヤーとの取引停止を求めます」(ファーストリテイリング広報)

「個別素材の産地について詳細は差し控えますが、現在ユニクロでは、国際基準に則って、農家における強制労働や児童労働がなく、人権や労働環境が適正に守られていることが確認された、サステナブルコットンのみ使用しておりますことをご案内申し上げます」(ユニクロカスタマーセンター)

日本ウイグル協会「説明としては不十分」

 つまり、「過去にはウイグル産の綿を使用していたが、今は使用していない」「強制労働には関与していない」というものだ。この回答について、あらためて日本ウイグル協会理事のレテプ・アフメット氏に話を聞いた。

「世界的なサプライチェーンを持つ企業が、人権をないがしろにした方法で労働力を動員し、製品をつくっているのではないか。そういう疑惑は、ここ数年、欧米で頻繁に指摘されています。ウイグル人の強制労働疑惑もその中のひとつです。

 一方で欧米のメディアは、これまでたびたびユニクロや無印良品の製品に関し、ウイグル人による強制労働の疑惑を報じてきました。ユニクロからの回答は非常にあっさりした内容で、現時点で取引している現地企業はないというものでした。まともな回答にはなっていなかったと考えています。少なくとも、つい最近までユニクロと無印は『新疆綿』を謳う商品を売り出していました。それに対する説明としては不十分だと思います。

 報道やシンクタンクの調査による一連の指摘を受け、同様に新疆ウイグル自治区の綿花を使用していたパタゴニアやH&Mといった、ユニクロと同じような事業展開をしている企業は、サプライチェーンの見直しを図りつつあります。日本企業も他人事のような回答で通すのは、難しいのではないでしょうか。

 今後、オーストラリアとは別の、有力な複数のシンクタンクがこの問題の詳細な調査を実施して、近く報告書を公表する予定です。詳報が出るまでに、日本の企業の皆様には自社でしっかり調査をしたうえで、自信を持ってそうした事実がないということを公表していただきたいと思っています。本気でこの問題に向き合う必要があります。報告書が出てからでは、国際的な信用を失くす可能性もあります。

 私たちは決してクレーマーではありません。日本企業の皆さんとケンカをするつもりもありません。グローバリゼーションを踏まえて複数の取引先を介するなかで、知らず知らずのうちに、ウイグル人をはじめ現地の人々の人権侵害を行っている可能性があることを真剣に考えていただきたいです。

 現在、アメリカ議会でもウイグル強制労働防止法が連邦議会で審議されています。当協会としても、前回の公開質問状での回答を受け、新たなアクションを検討しているところです」

 ユニクロや無印良品は、少なくとも過去に「新疆綿」を謳った商品を販売していたのであるならば、「現在は販売していない」との回答で終わらせるのではなく、もう一歩踏み込んだ調査と対応をすることが必要なのではないだろうか。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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