
環境省「再エネ加速化・最大化促進プログラム2018年版」によれば、日本の再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど)の潜在力は、電力需要の最大約1.8倍の供給力があるという。つまり、再エネだけで日本の電力すべてをまかなえることになる。
太陽光は、ヨーロッパより緯度が低い日本のほうが、日射量が豊富で有利だ。風力発電は法整備さえ進めば、海に囲まれている日本の洋上風力発電には大きなポテンシャルがある。水力は、既存のダムでも発電機がついていない所がたくさんあり、小水力発電の可能性がまだまだある。地熱に関しては、世界第3位の地熱資源量を持っており、これもまだまだ未開拓。バイオマスも、森林資源の多い日本は、手入れさえすれば大きな潜在力を秘めている。
にもかかわらず、2018年度のエネルギー自給率はわずか11.8%で、化石燃料に85.5%も依存している。ほとんどが輸入なので、代金として19兆円を海外に支払っている格好だ。庶民感情で考えれば、実にもったいない話である。
政府の新しい「エネルギー基本計画(2018年決定)」によると、2030年目標で再エネの電源構成比率は22~24%となっている。現在の比率が16%超なので、ほとんど増やそうという意図が感じられない。しかも、化石燃料(石油・石炭・天然ガス)の電源構成比率が56%もあるのは驚きだ。10年後もまだ、電力の半分以上を化石燃料でまかなおうとしている。
昨年12月に開催されたCOP25(気候変動枠組条約第25回締約国会議)で、地球温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」に日本が選ばれるのも無理のないことである。欧州各国が石炭火力の廃止を掲げているのに対し、日本は約100基が稼働中で、約20基の新設計画もあるのは異常なことだ。
スタートしたばかりの容量市場がグロテスクな結果になった
再エネのポテンシャルがこれほど大きいにもかかわらず、なぜ日本で再エネが普及しないのか。そして、政府・自民党が普及させようとしないのか。認定NPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は次のように指摘する。
「経産省、大手電力、重電3社などエネルギー村の意向に沿うかたちで政府が動いている。原発と石炭が中心という50年前のドグマが、いまだに残っている。7月に容量市場の入札が行われたが、9月14日に落札価格が公開された。発電できる能力に対して、1kWあたり2円ぐらいの補助金を原発や石炭がもらって維持するというグロテスクなかたちでスタートしてしまった。原発と石炭、大手電力の古い独占を維持するための市場だ」