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神戸山口組でまたも幹部が引退、絆會若頭は依然逃亡中…当局に狙われる大物組長たち

文=山口組問題特別取材班
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指名手配となった絆會の金澤成樹若頭

 9月28日、絆會から、六代目山口組の中核組織である三代目弘道会へと移籍した四代目竹内組組長に発砲・負傷させ、逃亡した後、全国指名手配されることになった絆會・金澤成樹若頭の消息は、その後、ピタリと途絶えたままだ。

 ネット上では、「どうせ逮捕されるのなら、金澤若頭は次の事件を起こすのではないか」「拳銃を所持して逃走しているらしいし、ほかの幹部を狙っているのではないか」などという物騒な噂が一時話題となったが、そういった事件も起きていない。そもそもこの噂について、業界関係者は冷静な見解を示している。

「あんなのは、ネット上の憶測に過ぎないのではないか。突発的な衝突でもない限り、事件を打つ(ターゲットを襲撃する)には相当の下準備が必要だ。それを、警察に追われている身で、1人で一から準備するのは非常に困難といえる」

 確かに、ターゲットを定めるような事件、つまり敵対勢力への発砲などを行う場合、最低でも、標的となる人物の動向などを事前に細かく調べなくてはならない。いつどこに現れるのか、発砲するならどこから狙うのかなど、計画を立てるための偵察も含めて、全国指名手配の身では、容易に事件を起こすことができないのではないかと、この関係者は指摘しているわけだ。ただ、長野県で銃声が轟いて以来、金澤若頭の所在がわかっていないのは事実で、予断を許さないことは間違いないだろう。

 一方で、神戸山口組にも動きがあったようだ。神戸山口組の直系組長が、また1人、組を後にしたというのだ。

 今回、引退を表明したのは、神戸山口組では井上邦雄組長の舎弟として参画していた四代目澄田会、竹森竜治会長だ。竹森会長は神戸山口組を後にすると同時に、渡世から引退したという。

「神戸山口組結成当時、一度は六代目山口組を去っていた直参と呼ばれる親分衆らが続々と神戸山口組に集結し、同組織を勢いづかせた。竹森会長もその中のひとりだった。ここに来て離脱する組員が続くなかで、直参と呼ばれる親分衆の引退は、神戸山口組の士気をさらに下げる可能性も考えられるのではないか」(捜査関係者)

 そして、すでに神戸山口組を離脱した五代目山健組にも衝撃が走った。山健組の保守本流といわれる健竜会の西川良男会長が、10月6日、山健組の会合が予定されていた当日に、兵庫県警に逮捕されたのである。

「暴力団員であることを隠して、駐車場の賃貸借契約をしたのではないかと詐欺容疑がかけられたとの話です。どちらにしても微罪逮捕で、起訴までするのは難しいのではないでしょうか。これまで当局は、5月と10月はヤクザに対する取り締まりを強化する月間としていました。実際、この月に合わせて逮捕される組員が多く、西川会長も10月に逮捕されたわけですが、当局は実際には時期は定めず、ヤクザに対する取り締まりを常時強化していくという方針に変わったようです。今後、組員の摘発はさらに増えていくのではないでしょうか」(ヤクザに詳しいジャーナリスト)

 それを裏付けるかのように10月8日には、神戸山口組の井上組長宅に兵庫県警が家宅捜索をかけたようだ。

「容疑は、山健組傘下組員が一般男性に電話をかけるように強要した疑いのようです。今に始まったことではありませんが、こうした、組長にはまったく関係ない下部組織の組員の容疑に対しても、当局はトップにまで家宅捜索などをかけるケースがあります。少しでも事件との接点があれば、使用者責任で追及することもできるということを誇示する、当局サイドのプレッシャーといえるはないでしょうか」(実話誌記者)

 ほかにも、神戸山口組系幹部らが、六代目山口組系組織へと復帰を果たしたという情報が流れている。組織内部からの離反者はやまず、外部では当局からのプレッシャーが強化されている神戸山口組。その劣勢状態は、さらに悪化しているといえるのではないだろうか。

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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