
Go To イートのオンライン飲食予約で「トリキの錬金術」に続いて「無限くら寿司」が話題になっている。トリキの錬金術とは、1000円以下の1品だけを注文して1000ポイントを獲得し、数店舗を回ってポイントを数多く獲得しようとするものだが、制度の抜け道だと非難が殺到したために、農林水産省は「Go To キャンペーンを利用する場合は、付与ポイント以上の飲食が必要」という条件を付けざるを得なかった。
無限くら寿司は提携しているサイトのEPARKが、ほかのサイトと違って翌日にポイントを付与するので、毎日ポイントを使ってポイント分の飲食をすれば、無料で飲食し続けることができるというものだ。
筆者は、10月9日の記事で「最低金額を設定しても、理論上は『2回目の予約からは、毎日1000円の夕食が無料で食べられる』(予約と付与の関係があるのでほぼ無理だが、数日間単位であれば可能なサイトもある)し、『1人ハンターより、10人仲間ハンターのほうがポイントは早く多く獲得できる』というのが、今回のオンライン予約の仕組みだ」と述べた。
ほかのサイトでは、ポイントが付与されるまでに数日から1週間かかっていたが、EPARKとくら寿司では翌日にポイントが付与されるので、毎日無料飲食パターンが可能となる。EPARKは、送客手数料が税別でランチ100円/人、ディナー200円/人かかるが、くら寿司は費用負担のない食事券には参加せず、オンライン飲食予約だけに参加している。送客手数料がかかっても、来店翌日にポイント付与という勝負手で、売上増加を狙っているのだろう。
ポイント付与について農水省は、当初から「来店確認でポイント付与」と明記しているので、翌日に付与しようと1カ月後に付与しようとサイト側の自由ということになる。料金体系が簡単な回転寿司だから翌日付与ということが可能になったのかもしれないが、どんな料金体系であろうと、会計清算時にポイントを付与することは難しくないだろう。このままではEPARK・くら寿司連合にポイントをかなり奪われる可能性が出てきているので、ほかのサイトや飲食店も、このまま黙っているわけにはいかないだろう。
しかも、野上浩太郎農水大臣が23日の記者会見で「今月1日から16日までの利用客がのべ約1092万人の予約があり、全員が利用すればポイント付与額が98億円分になる。ペースは上がってきている」と述べている。
大雑把に計算すると、半月で約100億円使われたので、616億円の給付金は、開始から約3カ月後の年末にはすべて利用されてしまうことになる(細かい計算は下記参照:※1)。これはトリキの錬金術がきっかけでテレビを筆頭にマスコミでGo Toイートのオンライン飲食予約が大々的に紹介されたことで、消費者の認知度が一気に上がったことと、「早くポイントを使わなければ給付金の限度があるので、ポイントの付与が終了してしまう」ことを多くの消費者が理解したことが大きいだろう。