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垣田達哉「もうダマされない」

「無限くら寿司」でみんな気づいた!Go Toイート、飲食店“無限&無料利用”競争

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
「無限くら寿司」でみんな気づいた!Go Toイート、飲食店“無限&無料利用”競争の画像1
くら寿司の店舗(「Wikipedia」より)

 Go To イートのオンライン飲食予約で「トリキの錬金術」に続いて「無限くら寿司」が話題になっている。トリキの錬金術とは、1000円以下の1品だけを注文して1000ポイントを獲得し、数店舗を回ってポイントを数多く獲得しようとするものだが、制度の抜け道だと非難が殺到したために、農林水産省は「Go To キャンペーンを利用する場合は、付与ポイント以上の飲食が必要」という条件を付けざるを得なかった。

 無限くら寿司は提携しているサイトのEPARKが、ほかのサイトと違って翌日にポイントを付与するので、毎日ポイントを使ってポイント分の飲食をすれば、無料で飲食し続けることができるというものだ。

 筆者は、10月9日の記事で「最低金額を設定しても、理論上は『2回目の予約からは、毎日1000円の夕食が無料で食べられる』(予約と付与の関係があるのでほぼ無理だが、数日間単位であれば可能なサイトもある)し、『1人ハンターより、10人仲間ハンターのほうがポイントは早く多く獲得できる』というのが、今回のオンライン予約の仕組みだ」と述べた。

 ほかのサイトでは、ポイントが付与されるまでに数日から1週間かかっていたが、EPARKとくら寿司では翌日にポイントが付与されるので、毎日無料飲食パターンが可能となる。EPARKは、送客手数料が税別でランチ100円/人、ディナー200円/人かかるが、くら寿司は費用負担のない食事券には参加せず、オンライン飲食予約だけに参加している。送客手数料がかかっても、来店翌日にポイント付与という勝負手で、売上増加を狙っているのだろう。

 ポイント付与について農水省は、当初から「来店確認でポイント付与」と明記しているので、翌日に付与しようと1カ月後に付与しようとサイト側の自由ということになる。料金体系が簡単な回転寿司だから翌日付与ということが可能になったのかもしれないが、どんな料金体系であろうと、会計清算時にポイントを付与することは難しくないだろう。このままではEPARK・くら寿司連合にポイントをかなり奪われる可能性が出てきているので、ほかのサイトや飲食店も、このまま黙っているわけにはいかないだろう。

 しかも、野上浩太郎農水大臣が23日の記者会見で「今月1日から16日までの利用客がのべ約1092万人の予約があり、全員が利用すればポイント付与額が98億円分になる。ペースは上がってきている」と述べている。

 大雑把に計算すると、半月で約100億円使われたので、616億円の給付金は、開始から約3カ月後の年末にはすべて利用されてしまうことになる(細かい計算は下記参照:※1)。これはトリキの錬金術がきっかけでテレビを筆頭にマスコミでGo Toイートのオンライン飲食予約が大々的に紹介されたことで、消費者の認知度が一気に上がったことと、「早くポイントを使わなければ給付金の限度があるので、ポイントの付与が終了してしまう」ことを多くの消費者が理解したことが大きいだろう。

「早く利用しないと終了してしまう」

 今回、無限くら寿司が話題になったことで、消費者にますます「早く利用しないと終了してしまう」という強迫観念が生じる可能性がある。さらに、「一種のゲーム感覚で誰よりもポイントを多く獲得したい」とか、「誰よりも多く得をした(儲けた)という優越感を味わいたい」という人も出てくる。そうなると、ポイントを獲得することが目的になり、普段よりも多くの飲食代を使ってでもポイントを獲得しようとする。獲得合戦の様相を呈する可能性があり、オンライン飲食予約は今まで以上に熱を帯びるだろう。

 特に「幹事ポイント総取り」といったことでも話題になっているように、年末に近づくほど、居酒屋などでの大人数での利用が増えるに違いない。食事券と違って、オンライン飲食予約は、多くのサイトでは獲得したポイントは次回に使用されるので、ポイントを貯めることができない。食事券のように「たくさん購入して、皆が集まる年末年始に使おう」とか「クリスマスや年末年始に家族でちょっと豪華な食事に使おう」ということができない。おそらく、オンライン飲食予約は、給付金が増やされることもなく、年末までには終了しているだろう。

 昼食で毎日外食を利用している人なら、翌日にポイントが付与されないサイトであっても、複数のサイトで飲食店を予約すれば、毎日500円分のポイントを使用することもできる。500円のランチであれば、終了するまでは、まさに無限無料ランチになる。

 今年の忘年会は、予約が集中する年末ではなく11月末から12月初旬に開催したほうがお得かもしれない。そして年末年始は、たくさん購入した食事券で豪華に飲食すればよい。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

【備考】

※1 前回の記者会見での発表では「1日から9日までの9日間で約558万人、約49億円。1日当たり62万人、約5億円」だったが、10日から16日までの7日間では約534万人、約49億円( 1日当たり約76万人、7億円)利用したことになる。直近1週間で、1日当たり10万人、約2億円以上も増えていることになる。16日現在の給付金の残額は、518億円(616億円-98億円)になる。このまま利用者が推移(1日あたり7億円)すると、10月16日の74日後で終了となる。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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