にわかには信じられない杜撰な補助事業であることがあらためて発覚した。「文春オンライン」(文藝春秋)は27日、記事『Go Toトラベル「コンパニオン旅館 セクハラごっこプラン」を補助対象外に』を配信。国内旅行の代金が最大半額相当補助される「Go Toトラベルキャンペーン」の対象に、コンパニオンサービスを提供する旅館が含まれていたことをスクープした。観光庁は今後、補助対象外にする方針という。
同記事は静岡県内の温泉旅館の事例を取り上げていた。宿泊客にはさまざまな“女性が接待する”プランを用意し、サービスを提供していたという。
Go To適用のコンパニオンプランは全国にあった
しかし、これはどうやら特殊な事例ではなかったようだ。あるコンパニオン宴会予約サイトでは、全国各地の宿泊施設の「接客プラン」が「GO TO TRAVEL」タグ付きで紹介されていた。さすがに静岡の温泉旅館のような直接的な表現はないものの、ある宿泊施設では「お色気」「ロング!変心パック180分(N60分→P120分)」(原文ママ、下記写真参照)などと銘打たれた2~5万円のコースを掲載。どうやら、コンパニオンははじめの1時間は普通の服装でお酌をし、その後「変身」して露出の大きな格好で2時間接待するサービスのようだ。そのほか、「ツイスターゲーム無料貸出しいたします!」などという怪しげなオプションに関する記載も確認できた。
一方、各宿泊施設の公式サイトにはこうしたプランの説明はないことが多く、あくまでも裏メニューのようだ。当サイトでGo Toトラベル公式サイトの「事業者一覧」と照合したところ、少なくとも山梨県の石和温泉で5軒、栃木県の那須塩原で1軒が該当した。
宿泊施設関係者「公務員も利用、問題との認識はなかった」
山梨県の宿泊施設関係者は次のように話す。
「新型コロナウイルス感染症が社会問題になる以前から、宿の売りのひとつとしてずっと提供し続けていたプランです。Go Toが始まった後も、以前通り続けていたというだけです。それがここにきて適用対象外というのは……。
直接的に女性のあっせん行為をしているわけではなく、あくまでもコンパニオンを宴会に手配してお酌するサービスで、宴会後にお客様とどのようにされるのかは私どもの関知するところではありません。個人情報の観点から非常に申し上げにくいのですが、公務員の方々もたくさん利用されていまして、後ろ指を指されるようなサービスを提供していたという認識はありませんでした」
Go Toトラベルキャンペーンめぐっては、政府による拙速な事業展開が危惧されていた。最近では観光庁は自動車運転免許の合宿ツアーを「制度の主旨に沿わない」として、11月1日以降の申し込み分から対象除外にすることを決めたばかりだ。
同様に飲食店支援事業の「Go Toイート」では、焼き鳥チェーン店「鳥貴族」での「トリキの錬金術」、回転ずしチェーンの「くら寿司」における「無限くら寿司」など、ポイント付与をめぐるさまざまなトラブルが報告されている。政府は今一度、「制度の主旨」がなんなのかを考えるべきではだいだろうか。