
JR北海道とJR四国の20年4~9月期の連結決算は過去最大の赤字となった。JR北海道の最終赤字は149億円(前年同期は3億8800万円の赤字)。新型コロナウイルス感染拡大で旅客が低迷した。売上高にあたる営業収益は519億円で前年同期比39.2%減となった。JR四国の最終赤字は53億円(同12億円の黒字)。営業収益は115億円にとどまり、同54.4%の大幅な減収だ。鉄道のほかホテルの利用客が減ったことが響いた。
両社は経営安定基金の運用益を営業外利益として計上することによって、これまで経常黒字を維持してきたが、両社とも赤字に転落した。国土交通省と北海道は20年12月12日、JR北の経営問題をめぐり鈴木直道知事や同社の島田修社長、北海道運輸局の加藤進局長らが参加する会議を北海道庁内で開いた。国交省の上原淳鉄道局長は「この2年間の措置をもう一歩進めたかたちで支援策の充実・強化を図っていきたい」と述べ、21年度以降も財政支援を続ける考えを表明した。
国はJR北に年200億円規模の支援をしている。19、20年度で計400億円を支援した。20年度(21年3月末)で期限が切れるはずだったが、支援の期間や金額は今後調整し、年明けの通常国会に関連法案を提出する。会議にはオブザーバーとして同社が公的支援を前提に維持を検討する8区間の代表を務める道内8市の市長やJR貨物の真貝康一社長も出席した。鈴木知事が就任した19年以降、国やJR北がそろって経営問題を議論するのは初めてだった。
人口の減少が全国の鉄道会社の収益を圧迫している。なかでもJR北が運営する23区間すべてが6年連続の営業赤字。鉄道からバスへの転換などで採算改善を急ぐ。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が直撃し、旅行客は激減。JR北は存亡の危機に立たされた。
JR四国は18区間のうち17区間で営業赤字。西牧世博社長は「閑散線区をどうするかという議論を始めざるを得ない」と述べ、不採算路線の存廃を含めて検討する必要性に言及。「5年以内に、『(議論を)始めませんか』との問いかけをする必要がある」とした。西牧社長は「未曽有の危機」との認識を示している。
JR四国は今期中に5カ年の中期経営計画を公表する。経常黒字を目標としていた20年3月期が20億円の赤字となり、国交省から指導を受けたことを踏まえての中経である。同社は鉄道施設を沿線自治体などが保有する「上下分離方式」の導入の是非を含め、協議を進めている。JR四国は2011年度~20年度の10年間で600億円の財政支援を受けている。