菅政権の愚策で日本の自動車産業が衰退危機…コスト削減で外資依存、台湾の半導体支配を助長の画像1
「Getty Images」より

 コロナ禍で動画配信、オンラインミーティングやストリーミングゲームが流行し、半導体チップの需要がうなぎのぼりとなって、自動車メーカーがチップを調達できない事態に追い込まれている。

 今や自動車1台に50~80個のマイコンが必要であり、自動車生産コストの3割が半導体部品だ。そして、その調達費用は2030年には自動車コストの5割に達すると予想されるほどである。

 半導体不足で自動車メーカーは減産を余儀なくされ、その影響はトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)などの日系メーカーから、フォルクスワーゲン、フォード、フィアット・クライスラー(ステランティス)などの欧米メーカーにまで波及している。

 自動車メーカーの苦境は、運転支援、大型ディスプレイ、コネクテッドカーなどの目新しい機能を満たす処理のために必要な半導体部品が調達できないことで、悪化している。

半導体不足の元凶

 車載の半導体不足に関する原因は、いくつか挙げられている。

 味の素のCPU向け絶縁体不足、旭化成の半導体工場火災などが指摘されているが、それだけにはとどまらない。この10年かけて日本の半導体メーカーがチップ製造を台湾へ委託することが進行していたことにある。

 日本企業のルネサスだけではなく独インフィニオン、蘭NXPなどの車載チップに強いメーカーがチップ製造を委託していた台湾大手半導体ファウンドリのTSMCが、車載チップの供給を満たしていなのだ。

 日米欧の首脳らが、車載チップ不足で台湾当局とTSMCの製造強化について協議しているところからも、チップ不足の原因は世界の半導体製造シェア55%を誇るTSMCだとみるべきだろう。

 ここで奇妙なのは、車載用チップの多くは28ナノ、40ナノなどのレガシーテクノロジーで、かつ変更の難しい車載認定ラインであるため、最先端プロセスを利用するスマホなどのコンシューマへ転用することは難しく、車載ラインをコンシューマに充てることはないという点だ。単純に、TSMCが計画通りに受注した車載チップを製造せずに、車載チップ製造ラインの人員リソースをコンシューマ製造ラインに優先して割いているのではないかという疑惑がある。

 TSMCの最高経営責任者(CEO)であるC・C・ウェイ氏は1月15日の英文ニュースで、「車載チップ不足解消がTSMCにおいての最優先事項」と語ったと報じられたが、同日に出た中文ニュースでは「5Gとハイパフォーマンスコンピュータに焦点を当てている。認証期間が長く、製造プロセスが複雑なため、自動車用チップの増産をまだ決定していない」と、矛盾する回答を行っている。

 このウェイ氏のコメントから、「英語圏の人々には車載が最優先だと調子のいいことを言って、中国語圏の人々に対しては車載増産を決定していないと答えるのはおかしいのではないか」と、自動車業界から不満の声も上がっている。

 中国が国家戦略計画「製造2025」で、半導体が産業の肝だとして自給率75%を目指しているにもかかわらず、日米欧の政府が自国の半導体自給率を甘く見ていたことにも責任がある。

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