トヨタ社長の苛立ち…影薄いFCV「MIRAI」、日本のエネルギー政策が自動車業界の障害の画像1
トヨタ・MIRAI(「Wikipedia」より)

 2050年までの温室効果ガス排出量ゼロに向けた日本政府の実行計画で、排出量に応じて価格を付ける「カーボンプライシング(CP)」の導入をめぐり、産業界では賛否が割れている。経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は昨年12月21日、オンライン記者会見でCPについて「拒否するところから出発すべきではない」と語り、導入検討に一定の理解を示した。

 経団連は19年秋に出した20年度税制改正への提言で、CPについて「経済活動と国際競争力の減退をもたらす」と主張。炭素税などの導入は「具体的な議論を始める段階とはいえず反対」としていた。だが、菅義偉政権が50年の温暖化対策ゼロ化に向けて動きだしたことを受けて、「一定の理解」を示したわけで、中西発言は波紋を描いた。

 経団連の首脳のひとりは「(中西発言は)あくまで議論や検討すべきだということで、CP自体を容認する意味合いではない」とクギを刺す。業界によっては「本末転倒」と断じる強い反対意見もある。

 中小企業で構成する日本商工会議所の三村明夫会頭(日本製鉄名誉会長)は「企業はすでに国際的にみて割高なエネルギーコストを負担し、高止まりする電力料金が経営に影響を及ぼす」として明確に反対の立場だ。

 経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングスグループCEO)は「CPを社会が受容するには、大きなハードルがある」とし、制度化は難しいとの立場だったが、「同友会は反対しない」に方針を転換した。「潮目が変わったと経済界の多くの人たちは受け止めている」と述べた。それでも経済・産業界全体では「経営への負担が大きい」としてCPの導入に反対の意見が根強い。

 国外に目を向けると様相は一変する。脱炭素への取り組みが遅れた企業を排除する動きは国際的に加速している。欧米では取り組み不足の国や企業の製品に課税する制度の検討も進んでいるという。温暖化は地球全体の問題であり、利益を優先させる企業が規制が緩い国に移って営業活動を続ければ効果が半減以下となる。

 排出抑制の有効的な手法として先進各国でCP導入が進むなか、日本もCPへの取り組みに関して避けて通れないところまできた。日本で産業界も納得できる制度設計ができるかどうかは、議論を主導する環境省、経済産業省が一枚岩となれるかどうかにかかっている。2月1日、環境省はカーボンプライスを検討する有識者会議を開き、CPに関する議論を再開した。「カーボンプライシング実現に一歩踏み出す前進の年にする」と意気込む小泉進次郎環境相が政治家として最初に迎える本格的な試練かもしれない。

トヨタ社長は苛立っている

 20年に世界で販売された新車の販売台数でトヨタ自動車(グループのダイハツ工業、日野自動車を含む)がドイツのフォルクスワーゲン(VW)を上回り5年ぶりに首位に返り咲いた。トヨタの世界販売台数は952万台。前年に首位だったVW(930万台)をおさえ、1位と2位が逆転した。

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