菅政権、容赦なき銀行再編が開始…銀行が銀行を子会社化、独禁法適用除外の“特例”断行の画像1
福井銀行(「Wikipedia」より)

 2021年は地方金融機関の経営統合・再編が加速することになる。再編論者である菅義偉氏が首相に就任後、広域連合や異業種提携が相次いでいる。先陣を切って福井銀行が、同じ福井市内に本店を置く福邦銀行を子会社にする。福邦銀は非上場の第2地銀である。

 1月14日、福邦銀が実施する50億円の第三者割当増資を福井銀が引き受けることで合意した。福井銀が福邦銀株式の過半数を取得して子会社にする方向で協議を進める。2021年度中に手続きを完了する。

 地方銀行再編を看板政策に掲げる菅政権の発足後、実際に経営統合が決まるのは初めて。共同持ち株会社を設立し傘下に各銀行を置くのが一般的で、子会社にするのは珍しい。当面、福邦銀のブランドは維持し、1グループ2行体制となる。

 福井銀の林正博頭取は記者会見で、「効果は変わらず、労力が少ないため子会社を選んだ」と述べた。共同持ち株会社形式では全株式を持ち株会社が持つことになるため、株式交換の手続きが必要になる。新しい組織の役員や管理部門設置もコスト要因となる。福邦銀の渡邉健雄頭取も「(持ち株会社にすると)内向きの仕事が増える。資本関係を強化して弾力的にやっていく」とした。

 福邦銀は09年に国から60億円の公的資金を注入されている。福井銀に対する第三者割当増資の実施前に、前倒しして公的資金を一括返済する。利益剰余金をこれに充当する。県内の大企業を中心に大きなシェアを持つ福井銀の20年9末時点の単体の預金残高は2兆7179億円、貸出残高は1兆7851億円。21年3月期の連結純利益は前期比12%増の24億円の見込み。

 相互銀行が発祥で零細企業や個人事業主を取引先に持つ福邦銀の20年9月期末時点の預金残高は4387億円、貸出金残高は3170億円。21年3月期の連結純利益は2億7000万円を予定している。両行の福井県内の貸出金のシェアを合算すると金額ベースで50%弱となる。福井銀は福井県内のほか、石川、富山両県にも支店を展開しており、石川県の北國銀行(地銀)、富山県の富山第一銀行(第2地銀)とも提携している。

特例法が地銀再編の号砲となる

 人口減少により地域経済は衰退の一途をたどる。長引く日銀のマイナス金利政策。そこに新型コロナウイルス感染拡大が加わり、地方銀行を取り巻く経営環境は一段と厳しくなっている。政府は20年11月、地銀同士の合併に独占禁止法を適用しない特例法を施行。10年間の時限措置だが、これで同一県内の金融機関同士が合併しやすくなる。地銀再編を促すための地ならしである。

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