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巨大組織・住吉会と武闘派組織・道仁会が「兄弟」に…ヤクザ社会で活発化する「原点回帰」の動き

文=山口組問題特別取材班
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住吉会と道仁会から出された挨拶状

 関東の巨大組織である住吉会と、福岡県久留米市に本拠地を置く、武闘派組織として名高い道仁会が親戚縁組を果たし、一心同体の五分兄弟会の契りを結んだことが2月25日にわかった。

 道仁会とは、2012年に全国で初めて特定抗争指定暴力団に指定された経歴を見てもわかるように、いったん抗争が始まれば、とてつもない武力を行使して、戦い抜く組織として知られている組織だ。その道仁会は現在、同じく九州に本拠地を置く独立組織である五代目工藤會(福岡県北九州市)、太州会(福岡県田川市)、熊本會(熊本県熊本市)=順不同=で構成されている親睦団体「四社会」に加盟しているだが、その四社会の同意のもとで、住吉会と固い絆で結ばれることになったという。

 一方、住吉会といえばいわずと知れた巨大組織で、その勢力でいえば、日本最大の組織、六代目山口組に次いで2番目の規模となる。

 中でも、住吉会の総本部長を務める幸平一家十三代目・加藤英幸総長は業界内でも別格視されており、幸平一家の下部には武闘派として知られる組織が多数所属している。

 そして今回、両団体の親戚縁組については、加藤総長の「強い御要望と御推挙により」、住吉会・関功会長、道仁会・小林哲治四代目会長が熟慮協議を重ねた上で実現したことが、業界関係者に送付された「御挨拶」に記されていたのであった。

「幸平一家といえば、幕末から続く伝統ある名門組織として知られており、住吉会の中にあっても、住吉会と幸平一家のそれぞれの代紋を掲げているほどの特別な存在だ。そのトップに君臨する加藤総長の強い要望があってこそ、結果的に五分兄弟会として縁が実現したようだ」(業界関係者)

 確かにこれまでも、有力組織間で親戚縁組が結ばれることはあった。その言葉の意味通り、親戚関係よりも親密度が高く、より一層強い絆で結ばれるのが、五分兄弟会の縁組となるわけだ。

「ヤクザを取り巻く環境は、ますます厳しくなっている。そうした局面にあるからこそ、今回は一心同体としての縁組を行い、書状にも記されているように、古来よりの任侠道の伝統を継承していくという、強い意志を表したということになるのではないでしょうか」(同)

 そうした一方で、六代目山口組の分裂に影響される形で分裂するも、先日、再び統合された京都の名門組織、七代目会津小鉄会も新役員人事を発表させている。

 六代目山口組の分裂問題は、他団体に影響を与えることになったといわれている。だが月日の経過とともに、同問題は収束の方向に向い、今や平穏を取り戻したともいえる状況になりつつある。それと同時に、業界全体としても原点に立ち返って、組織間の絆を強化したり、一本化を図ったりしながら、任侠道の邁進を表明する動きが活発化しているように見えるのだ。

 だが、そうした中でも、ヤクザ全体を反社会的勢力と位置づけた当局による取り締まり手は緩むことなく、最近も六代目山口組系の大物組長らが逮捕されている。さらに、緊急事態宣言の解除が見え、当局が一斉に捜査を強化するのではないかといわれている。山口組分裂騒動が落ち着く中でも、ヤクザ社会周辺は不穏な空気に包まれている。

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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