星野リゾート、なぜ高級ホテル「グランドハイアット福岡」の経営権を獲得したのか?の画像1
グランドハイアット福岡 HP」より

 星野リゾートグループが、不動産開発の福岡地所(福岡市)が運営する複合商業施設「キャナルシティ博多」の共有持ち分の19.75%を取得して運営に参画する。星野リゾートは施設内の高級ホテル「グランドハイアット福岡」の経営権も入手する。

 取得に当たり、星野リゾート・リート投資法人が保有するANAクラウンプラザホテル福岡(福岡市博多区)と、福岡地所グループの福岡リート投資法人が保有するグランドハイアット福岡(同)を、相互に77億円で売却。事実上の等価交換で資産の入れ替えとなる。取得予定日は6月1日。当面はホテル名や運営体制に変更はない。

 星野リゾートは、九州・東アジア戦略の拠点としてラグジュアリーブランドのホテル、グランドハイアットを手に入れる。星野リゾートの戦略は明快だ。一方、福岡地所は博多駅前で進む再開発事業「博多コネクティッド」の適用範囲内に、新たな拠点を得ることになる。「マイクロツーリズム」を提唱している星野佳路・星野リゾート代表の知見を福岡市内の観光活性化に生かしたい考えだ。

 星野リゾート・リート投資法人の資料によると、グランドハイアット福岡は1996年3月竣工で客室数372。鑑定評価額は88億円(21年2月15日)。取得価格は77億円だ。ANAクラウンプラザホテル福岡は1976年11月(ホテル棟)竣工で客室数は320。鑑定評価額は83億円(20年10月31日)。譲渡価格は同じく77億円。

 共に鑑定評価額を下回る価格の等価交換となった。福岡地所のグランドハイアット福岡の帳簿価格は75億円。諸費用を差し引き、売却益9500万円を見込んでいる。

福岡地所とはどんな会社なのか

 福岡地所の代名詞となっているキャナルシティ博多の運営権の一部と、同施設のシンボルである高級ホテルのグランドハイアット福岡を星野リゾートグループに譲渡することになったことから、福岡地所の経営面に関する観測が、不動産ならびに不動産投資に関連する業界に広まった。星野リゾート、福岡地所のリート法人は東京証券取引所に上場している。

 福岡地所とはどんな会社なのか。1961年、福岡相互銀行(現・西日本シティ銀行)の保険代理店として設立。その後、不動産業に進出した。福岡相互銀行の創立者、四島一二三氏の分家、榎本家が福岡地所の経営を担ってきた。福岡地所会長の榎本一彦氏は、四島氏の孫。四島ファミリーとしてファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングスの最高顧問を務めるなど福岡財界の重鎮である。

 榎本氏の最大の功績は96年、カネボウ工場の跡地に商業施設「キャナルシティ博多」をオープンさせたことだ。高級ホテル・グランドハイアット福岡を誘致し、商業施設としてのステータスを高めた。

 現在の社長、榎本一郎氏は一彦会長の長男。74年生まれの46歳。東京大学法学部卒。日本興業銀行(現・みずほ銀行)を経て、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。2003年、福岡地所に入社。金融出身の経験を活かし、福岡リート投資法人・投資証券の設立に携わった。15年8月、福岡地所の社長に就任した。