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三越伊勢丹の悲劇…巨額赤字を招いた経営2トップが会長に留任、現場で目立つ顧客軽視

文=編集部
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伊勢丹新宿本店(「Wikipedia」より/Kakidai)

 コロナ禍で大幅に客数が減少したことを受け、大手百貨店の2020年度決算は軒並み赤字となることが確実視されるが、そのなかでも突出しているのが、老舗の三越伊勢丹ホールディングス(HD)。その額は450億円に達する見通しで、店舗閉鎖論が再燃しかねない状況だ。

 同社は杉江俊彦社長を退任させ、後任に岩田屋三越社長の細谷敏幸氏を充て、経営不振からの脱却を図る構え。ただ、この4年間まったく指導力を発揮できなかった赤松憲会長の留任も決まったため、百貨店の未来像を描くどころか、後ろ向きな経営方針を再び進める懸念もある。まさに悲劇的な人事だ。

大都市の店舗対象?

 将来的な閉鎖もあり得るという見方が長らくくすぶっているのが、東京・立川、札幌、福岡の各店舗だ。立川から特急列車でわずか20分で到着する新宿では旗艦店である伊勢丹新宿店が営業している。このため、「立川は素通りし品揃えのいい新宿店に買い物に行く」(甲信地方在住の50代主婦)という厳しい現実がある。

 しかも、杉江氏は2019年11月5日付日本経済新聞の記事で、立川店について以下のように述べている。一部をそのまま引用する。

<90年代後半、立川店を移設し大規模店舗を新設する事業に携わりました。「ローコストオペレーションをしないともたない」。当初から私は立川店の運営についてこう強調しました。

 相模原店では内装などにお金をたっぷり投入しましたが、収益に見合わなかったのです。立川店でもエスカレーター周辺に豪華な装飾などを求められました。

「おまえは立川店の敵だ」。取締役でもある立川店長には悪者扱いされる始末です。店舗投資については百パーセント押し切られてしまいました。

 結果として、立川店は当初から厳しい商売を強いられることになります。最初に大きな投資をしてしまったら、もう後戻りできません。譲れない部分はあきらめてはいけないということを学びました>

 言っていることは真っ当だが、立川店の将来的な閉店も示唆していると捉えられる。同業他社幹部は「うちだったら秘書が社長に話すのを止めるよう進言する」と呆れ顔だ。

 立川店以上に閉店の現実味があるとされているのは札幌と福岡だ。いずれも近隣で2店舗が営業しており、店舗再編の噂が後をたたない。杉江氏は18年の春先に「店舗閉鎖は当面ない」と断言したが、その発言から数カ月後に3店舗の閉店を決めた。

 コロナ禍のため、その当時よりも経営状況は悪い。構造改革を進めた杉江氏は事業会社の三越伊勢丹会長に退き、赤松氏も三越伊勢丹HDの会長に留まるため、再び安易なコストカットに走る懸念もくすぶる。


偉そうな会長

 赤松氏の評判は最悪と言ってもいい。伊勢丹関係者は「あいさつもせず偉そう。とても百貨店の人間に思えない。いつまで居座って金をむしり取るのか」と語気を強める。業界関係者は「パーティーでつまらない話を10分くらい聞かされた。みんな早く酒を飲みたいのに」と呆れ顔だ。

 元三越伊勢丹HD幹部は「台湾から連れて来られた何もわかっていない人」と皮肉る。赤松氏は元社長の大西洋氏の失脚に伴い、三越伊勢丹HDの関連会社の新光三越(台湾)の幹部から転身した。

周回遅れで始めたデジタル

 同業他社は不動産賃貸業や金融事業を強化しており、三越伊勢丹HDが周回遅れで始めたデジタルは軌道に乗っているとはいいがたい。テレビ電話で接客するなど、新しい試みも行い、メディアなどでもてはやされているが、顧客の大半を占める「高齢者には使いこなせない」(関係者)ことに加え、売っているものは従来の百貨店と変わらない。このため、新たな顧客の獲得につながっていない。

 テレビ電話での接客の様子はまさに懇切丁寧な印象だが、店舗では来店客を放置して私語に興じる従業員も目立つ。ソーシャルディスタンスを取らなければいけないのに、「休憩所でマスクを取ってくっちゃべっている従業員も少なくない」(関係者)という。コロナ対応をめぐる休業補償でも冷淡な対応に終始し、従業員から非常に顰蹙を買っている。

 いくらデジタル化という格好のいいことを言っていても、足元の従業員教育の徹底を図らない経営陣を残している限り、激動のコロナ時代の生き残りレースを制することはまず無理だ。

(文=編集部)

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