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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

アパレル業界、大失業時代が到来か…店長・販売員の求人激減、「店舗販売モデル」に限界

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師
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「Getty Images」より

 新型コロナウイルス感染拡大対策として政府が実施する雇用調整助成金(雇調金)の特例措置について、5月から上限額や助成率が引き下げられた。事業主と労働者の“セーフティーネット”といえる雇調金は、企業が従業員に支払った休業手当を国が補填する制度。コロナ感染拡大で特例が設けられ、今年3月末までに全国で約296万7000件(約3兆1600億円)支給された。これについて、財務省は新しい産業に人材が移動するのを妨げているとして、雇用情勢が大きく悪化しないかぎり特例措置を早期に解消して職業訓練の拡充など離職者の支援に力を入れるべきだと提言。特措打ち切りを主張している。そこで今回は、雇調金の政策がアパレル業界に与える影響についてみてみたい。

1.業界求人環境の急激な変化

アパレル業界、大失業時代が到来か…店長・販売員の求人激減、「店舗販売モデル」に限界の画像2
『アパレル業界のしくみとビジネスがこれ一冊でしっかりわかる教科書』(たかぎこういち/技術評論社)

 厚生労働省によると、昨年度平均の有効求人倍率は前年度比0.45ポイント低下して1.10倍となった。下落幅は石油危機の昭和49年度以来、46年ぶりの大きさだ。総務省がまとめた昨年度平均の完全失業率も2.9%と11年ぶりに悪化した。

 特に宿泊・旅行業や飲食業、アパレル販売業は厳しい。これらの業種は中小・零細企業が多く、雇用の確保が厳しくなっており、今後の失業増が懸念されている。そうしたなかでは雇用を維持した企業に支払う雇調金が果たす役割は非常に大きい。

 特にアパレル業界では、コロナ以前から大手アパレル企業の販売店舖閉鎖が加速し、販売員の失業・再就職問題が生じている。従来のようにすぐに再就職先が見つかる状況ではなくなっており、個々人の高いスキルも必要とされる。

 コロナ禍ショックが出始めた2021年度決算をみてみると、オンワードホールディングスは2019年秋から始めた構造改革で2年半の間に1700店舖を閉鎖、不採算の海外事業も撤退した。売上は1743億円と減少したが、不動産売却益48億円の影響もあり、赤字額は前期の212億円から100億円近く減少した。株価も上昇し、一定の評価を受けている。30年度までの新たな中長期経営ヴィジョンも策定している。

 三陽商会は、14カ月の変則決算ながら、店舗閉鎖で売上高は379億円と大きく減少。最終損益は49億円の赤字と5期連続の赤字となった。自社ビル売却なども行ったが、赤字額は前期の26億円から広まった。だが22年度は、販売管理費の大幅減などで黒字化も期待できるが、同社経営陣の危機感の欠如は依然として改善されていないようにみえる。

 首都圏などで店舗の休業措置がとられるなか、多くの企業や店舗がインターネット販売に挑戦したりと試行錯誤を続けており、休業中の給与支払い原資となる雇調金がセーフティーネットとなっている。

2.業界求人職種の大変化

 ファッション・アパレル業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」の調査結果によれば、業界全体の求人数はコロナ禍以前に戻りつつある。しかし、職種によって募集人数に大きな差がある。20年6月から回復傾向にあったが21年に入って横ばいになっている。1年半前の求人数を100とすると、21年は契約社員の求人数は81.2%と大きく回復。しかし店長・販売の求人数は20年4月以降、20~40%減が続いている。

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