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杉江弘「機長の目」

羽田・新飛行ルート、重大事故への懸念相次ぐ…ANAとJAL、“裏”進入チャート存在か

文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長
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羽田空港(「Getty Images」より)

 羽田空港の東京都心飛行ルートが始まり約1年が経過した。世界の大空港で例を見ない3.45度のRNAV(広域航法)進入には、国際団体のIATA(国際航空運送協会)やIFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)も安全運航上の懸念を表明し、共同で国土交通省に直接足を運び改善申し入れを行った。

 しかしながら、国交省の航空局はこれらも無視して強行を続けてきた。日本のパイロットは会社内での立場上、声を大にして言わなかったものの、さすがにもう黙っていられないと相次いで自身のヒヤリハットの体験や天候に応じた滑走路の運用について意見を表明したり、新ルートの中止を求めるようになってきた。

新ルートでの進入方式に悲鳴を上げるパイロットたちの声

 我が国にもパイロットが自身のヒヤリハットなどをレポートの形で航空会社や国交省に報告して、情報をすべてのパイロットと共有したり、改善提案ができる制度がある。航空安全情報自発報告制度(VOICES)である。パイロットがどんなに危険な体験や自分のミスを正直に報告しても、会社や政府は、個人を特定して行政処分等の不利益処分の根拠として使用しないことが定められている。パイロットは実名でも匿名でもかまわない。これらのレポートをとりまとめるのは、国交省の航空局や報告者の所属する組織以外の第三者機関である公益財団法人の航空輸送技術研究センターである。

 3月31日、同研究センターが航空局に対して「令和2年度航空安全情報自発報告制度に基づく提言について」という要請を行った。その内容は、新ルートの経路の運用について「最終進入において操縦の困難度が高かったとの自発報告が多数寄せられている」というものである。根拠としたパイロットの投稿件数は15件であり、それらには新ルートを体験したパイロットの生々しい悲鳴ともとれるヒヤリハットや改善提案が書かれており、重大な危険事故が発生する懸念が示されている。私は衆議院議員会館において、この問題に関する議員連盟主催のヒアリングで国交省航空局の担当役人たちにも再確認したが、その一部をそのまま紹介してみたい。以下は現役パイロット達の生の声である。

・3000ft以下でのファイナルアプローチではアップダウンを伴う10から15度のヨーイングが度々発生してとても不安定で、あまり経験したことのない揺れでした。

・対地100ft(約30m)でのバンクも左へ9.3°となっての着陸でした。

・1000ft以下では非常にRough Conditionであり、降下率も一時的に1000fpmを超えるような状況であったため、Controlに苦心した。

・(PAPIが)4whiteではPathが不明となるので、一旦G/A(ゴーアラウンド)してやり直すべきであった。

・(強風横風の時の)HND南風運用ではApproach Type、RWYの選択肢が複数あり、予測して着陸準備を全て整えておくことが難しく・・・Safety Marginが低下していた可能性があると懸念します。

・Profile(進入方式)そのものの見直しも必要かと思われます。

※上記、原文ママ。( )は著者による補足説明

 これらの意見の意味するところは3.45度の急角度の進入はコントロール(操縦)上困難があること、南西風の強い時にはこれまでB滑走路(方位220度)とD滑走路(方位230度)が使われてきたのに、AとC(方位160度)を管制官から指示されると進入中は右からの横風となり、加えて都心ビル群による乱気流や突風が加わり、危険な着陸の可能性が生じると指摘しているものである。

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