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セブン&アイ、のれん代・1兆円超、隠れた減損リスク…海外コンビニ「6万店」へ急拡大

文=編集部
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セブンイレブンの店舗

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は6月26日、ガソリンスタンド併設型コンビニエンスストア・スピードウェイの買収について米連邦取引委員会(FTC)の同意命令案が承認されたと発表した。2020年8月、スピードウェイを傘下にもつ米石油精製大手マラソン・ペトロリアムが210億ドル(約2兆3000億円)でセブン&アイHDに売ることで合意していた。

 セブン&アイHDは21年5月、買収手続きを終えたと公表したが、FTCの委員2人が「競争上の懸念があり違法だ」と主張していた。店舗数で全米1位の米セブンイレブンは米国内で約9000店舗を展開している。第3位のスピードウェイの約3800店を取り込むことで、独占禁止法(反トラスト法)に抵触すると見なされたわけだ。

 FTCとの合意内容では、米セブンイレブンが米国内のスピードウェイとセブンイレブンの店舗を合計293店、米同業など3社に売却し、今後5年間、店舗を買い戻すにはFTCの承認が必要になる。10年間はFTCが指定した商圏で資産を売買する際には、FTCへの事前通知が必要になる。FTCの発表を受け、セブン&アイHDは「同意命令案の承認により、FTCの競争法上の懸念点がすべて解消された」とコメントした。

中期経営計画では26年2月期に国外コンビニを6万5000店に増やす

 スピードウェイの買収見通しが立ったことから、セブン&アイHDの井阪隆一社長は7月1日、オンライン会見を開き、2026年2月期までの中期経営計画と22年2月期の連結業績予想を明らかにした。北米事業について「持続的成長のメインドライバーだ。(スピードウェイの買収を)遂行できてうれしく思う」と述べた。中計の最終年度の26年2月期にはEBITDA(利払い・税引き・償却前損益)で1兆円超(21年2月期は6268億円)、自己資本利益率(ROE)は10%(同6.8%)、EPS(1株当たり純利益)の年平均成長率15%以上といった数値目標を掲げた。

 海外のコンビニ事業が成長の柱となる。スピードウェイ買収で1万3000店となった北米では1万5000店に拡大する。スピードウェイ買収後も米国のコンビニ市場のシェアは1割程度にとどまる。店舗数の多い東部のほか中部や西部など手薄だった地域にも進出する。

 日本ではセブンイレブン・ジャパンのPB(プライベートブランド)の商品力の強さが、競争力の源泉になっている。北米でもセブンのノウハウを活用して食品の販売を強化し、平均日販の増加につなげる。クロワッサンや野菜、果物などを使用したプレスジュースなどの商品を充実する。現地や日本の食品メーカーと連携し、米国に食品工場を設置するなどして、売上高に占める食品の構成比率を高める。

 デジタル戦略も強化し、自社によるデリバリーサービス「7NOW(セブンナウ)」の実施店舗を約6500店(21年4月期時点で3890店)とする。日本と北米以外の店舗数を3万9000店から5万店に引き上げる。海外の店舗数を現在の5万2000店から6万5000店に増やす。国内を含め世界16地域で7万2000店のコンビニを展開しているが、合併や買収などで、これまで店舗がない地域への新たな進出を計画している。

のれん代の償却がシナジー効果を食い潰すのか

 新中計にはバラ色の未来図が描かれているが、のれん代が最大の懸念材料である。スピードウェイののれん代は約120億ドル(約1兆3000億円)と公表した。セブン&アイHDは日本会計基準を採用しているので、これを20年間で定額償却すると毎期の償却負担は650億円になる。

 買収のシナジー効果は取得後3事業年度までは5.25億ドル(約580億円)~6.25億ドル(約690億円)と弾いている。期間利益の上乗せ効果を、のれん代が食い潰してしまう格好になる。想定通りの収益が上がらなければ減損リスクが待ち構える。

 米国では多くのコンビニにガソリンスタンドが併設されている。スピードウェイでは売上高の7割超をガソリンスタンドからの収入が占めていた。原油価格の変動で売り上げが大きく左右されるうえ、ガソリンスタンドは脱炭素の流れにも逆行する。セブンにガソリンスタンド運営のノウハウはない。セブンは日本で培った食品開発力を生かし、ガソリンに頼らない事業構造への転換を後押しするとしている。だが、ガソリンが主で、コンビニが従の経営が、コンビニ主体に変わるのは容易ではない。

 2.3兆円の巨費を投じたスピードウェイ買収はリスクが大きい。セブン&アイHDは7月1日、未定としていた22年2月期の連結業績予想も公表した。グループ売上はスピードウェイが加わるため、21年2月期比22.7%増13兆5490億円、営業収益は同39.4%増の8兆380億円、営業利益は同3.7%増の3800億円を見込む。コンビニ事業に経営資源を集中し、26年2月期までに海外コンビニ事業の営業キャッシュフローが全体の50%を占めるとみている。

 祖業であるイトーヨーカ堂などのスーパー事業や、そごう・西武の百貨店事業は影が薄くなるばかりだ。そごう・西武の売却が日程にのぼる可能性が高い。

(文=編集部)

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