NEW
高安雄一「指標でみる韓国経済の今」

なぜ韓国経済は、コロナ禍による落ち込みが軽微だったのか?「設備投資」から読み解く

文=高安雄一/大東文化大学教授
【この記事のキーワード】

, ,

なぜ韓国経済は、コロナ禍による落ち込みが軽微だったのか?「設備投資」から読み解くの画像1
「Getty Images」より

 今月は重要な需要項目のひとつである韓国の設備投資について取り上げる。設備投資も個人消費と同様、3カ月ごとであればGDP統計をみればよいが、毎月の動きをきめ細かく把握する場合は、設備投資指数をみることが一般的である。これも個人消費と同じであるが、韓国の企画財政部が毎月公表している「最近の経済動向」で、設備投資を毎月把握するために使われている指標が、設備投資指数である。そこで以下では、設備投資指数について、どのような指標であるのか説明したうえで、その最近の動きから設備投資の動向をみていくこととする。

 設備投資指数は大きく、機械類と運送装備(自動車など)の2つに分かれており、日本での分類である輸送機械を含む機械設備をカバーしている。ちなみに日本のGDP統計における設備投資には住宅以外の建物・構築物が含まれているが、韓国では建設投資という日本にはない需要項目が別途存在しており、建物・構築物はすべて建設投資に含まれている。よって機械類と運送装備で、韓国のGDP統計における設備投資は、おおむねすべてがカバーされている。

 設備投資指数はコモディティフロー法の簡易版により作成される。まずは、機械類など設備投資対象品目について、それぞれ、「国内生産+輸入-輸出」により国内総供給を算出する。そして、産業連関表を利用して、国内総供給のうち消費などではなく設備投資として使用された部分を算出して、その金額を積み上げることで名目値を把握する。最終的にはこれを実質化して基準年(現在は2015年)を100とした指数にすることで、設備投資指数が導出される。

 設備投資指数は、設備投資を国内生産や輸入といった供給側から把握した指標であり、毎月公表されている。日本では設備投資の動向を毎月把握するための指標としては資本財出荷指数があるが、これは国内で生産されて輸出された資本財、すなわち国内では設備投資として需要されない財が含まれてしまう一方、国外で生産されて輸入された財、すなわち国内では生産されていないが、国内の設備投資として需要された財が含まれない。韓国の設備投資指数はそのような問題はなく、設備投資の動向を毎月把握するための指標は、韓国のほうが優れているといえよう。

設備投資は景気を下支えした立役者

 さて以下では、最近の個人消費の動向を2つの視点からみてみよう。

 ひとつの視点は最近の動きであり、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのか把握する。そしてもうひとつの視点はコロナ以前の水準に回復したか否かであり、コロナ禍以前である2019年12月の指数を直近の指数がどの程度上回っているか確認する。

RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合