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赤石晋一郎「ペンは書くほどに磨かれる」

「女性記者と飲み会」「手土産要求」…韓国、国際法逸脱し日本に賠償命令【慰安婦裁判“呆れた”舞台裏】

文=赤石晋一郎/ジャーナリスト
「女性記者と飲み会」「手土産要求」…韓国、国際法逸脱し日本に賠償命令【慰安婦裁判“呆れた”舞台裏】の画像1
韓国・大統領府のHPより

 日韓関係の棘となってきた「慰安婦問題」が、再び大きな火種になろうとしている。きっかけは韓国内で判決が下された2つの裁判だった。

 まず今年1月、韓国のソウル中央地裁において元慰安婦ら12人(第一次訴)への賠償を日本政府に命じる判決が下された。日本政府は、国際法上の原則「主権免除」を盾にこの裁判を認めず、賠償に応じない方針を示している。「主権免除」とは主権国家の行為や財産は他国の裁判権に服さないという国際慣習法上の原則であり、他国で国が裁かれる裁判そのものを認めていないからだ。

 そうした状況にもかかわらず、日本政府が裁判に対応をしなかったため判決が確定。原告側は日本政府の財産を差し押さえて賠償に充てること提案し、ソウル地裁が被告の日本政府に対して韓国内の財産目録を出すよう命じる事態となったのだ。

 この判決に疑問の声が出ているのだ。

「ICJ(国際司法裁判所)の判例では、第2次世界大戦中のナチス・ドイツの行為についてイタリア人が被害を受けたとして、イタリアの裁判所がドイツに損害賠償を命じたことについて、国際法上の違法性が争われた例があります。ICJは2012年の判決で、ドイツの行為が強行規範に違反していても主権免除は適用されるとし、イタリアの裁判所の判決は国際法違反と判断したのです。

 しかし、ソウル中央地裁の判決では『慰安婦をめぐる日本の行為には主権免除は適用されない』とし、韓国の裁判権が及ぶと指摘。つまり国際法上の判例を逸脱するような判決が、ソウル地裁では下されたのです。

 しかも原告側は、まったくやる気がなく口頭弁論で裁判官から何度も『日本政府が原告の慰安婦らになぜ賠償をしなければならないのか』と立証のための資料提出を求められたものの、原告側は最後まで明確な論拠を出さなかった。それなのに賠償命令が出てしまったのです」(在韓ジャーナリスト)

 疑問の声は判決だけではない。原告団を主導するA氏という男性に対しても、さまざまな疑念の声が上がっているのだ。

「A氏はメディア側の取材に対して、見返りを要求するというので悪評が立っているのです。ある記者は『●●新聞は手土産を持ってきたが、お前のところはないのか?』とA氏に嫌味を言われたそうです。見返りがないメディアの取材に対しては『忙しい』と逃げることでも有名です。

 一方で女性記者を集めて親睦会を開くようなことも日常茶飯事。あまりにも女性記者への誘いがしつこいので担当記者を男性に変えたメディアまであるそうです。A氏は自分のお気に入りの女性記者をつくっては、こっそりとネタを提供することでも有名です。現在のお気に入りがBさんという日本人女性記者とCさんという韓国テレビ記者。彼女らだけに特別に資料を渡してスクープを書かせたりするのです」(ソウル特派員)

尹美香氏の疑惑

 元慰安婦支援者については、近年さまざまな疑惑が浮上した。例えばソウル日本大使館前の水曜集会を主催していることでも知られている慰安婦支援団体である挺対協(現正義連)では、昨年前代表である尹美香(ユンミヒャン)氏の疑惑が次々と浮上した。

 尹氏は昨年春の総選挙に与党系候補として出馬し、当選。しかし直後に、尹氏らが集会参加者らの寄付金を不正流用していた疑惑が発覚。尹氏は詐欺や業務上横領などの罪で起訴されたばかりではなく、先の6月には与党「共に民主党」から不動産をめぐる不正取引疑惑を受けて除名処分まで受けている。

「尹氏といいA氏といい、なぜ元慰安婦支援者は利に聡い人間ばかりなのだろうか、と日韓の記者たちは嘆き合っています。」(同前)

 このA氏が主導する第一次裁判は前述のように判決が確定。今後は日本政府の“財産差し押さえ”が本当になされるのかに注目が集まっている。

問題を複雑化させた文在寅政権

 一方で韓国司法も慰安婦問題については見解が分かれていることが浮き彫りになったのが、4月に判決が出た、別の元慰安婦女性らによる日本政府に賠償を求めた第二次訴訟だった。ソウル中央地裁は原告の請求を却下。裁判長は「(慰安婦問題の)解決は、外交交渉を含む韓国の対内外の努力で成し遂げられるべきだ」と語り、1月第一次訴訟判決とは真逆の結果となったのだ。

「第二次訴訟では女性弁護士を中心に、2018年秋の徴用工大法院判決(日本製鉄)で勝訴した原告代理人を含む弁護団が担当しました。日本政府の主権免除が適用されない理由を立証しようと、資料提出や国際法の専門家を証人として法廷で証言してもらうなど、第一次裁判の原告の適当さと比べると真摯に動いていた。

 このため下馬評では第一次訴訟は『却下』、第二次訴訟は五分五分と見られていましたが、結果はまったく正反対となったのです。敗訴した第二次訴訟で原告代理人が立証したことを、なぜか第一次訴訟の原告勝訴の判決理由に採用されるという、日本ではあり得ないことまで起きました。こうしたチグハグさは韓国司法のいい加減さをよく示しています」(同前)

 第二次訴訟の却下という判断には、日韓対立を先鋭化させたくないという文在寅政権の意向が働いたなどと報道されているが、「地裁判決なので政治的意図というより、単純に裁判官の見解の違い」と見る向きもある。

 第二次訴訟の原告団は、その後判決を不服として控訴している。第一次訴訟の現金化問題と併せて、慰安婦問題をめぐる騒動はまだまだ続きそうな気配だ。

「もとはといえば『不可逆的な解決』を謳った2015年の慰安婦合意を骨抜きにした文在寅政権の方針が、こうした問題を複雑化させたといえます。しかも大統領任期は残り1年を切っており、在任中の慰安婦問題解決は事実上不可能と見られている。同じように徴用工問題も政権は放置したままで、こちらも解決の糸口が見えていない。つまり文在寅政権は日韓歴史問題を無責任に再燃させたうえ、解決もせずに先送りすることになりそうなのです」(政治ジャーナリスト)

 慰安婦問題解決への道のりは遠い――。

赤石晋一郎/ジャーナリスト

赤石晋一郎/ジャーナリスト

 南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。講談社「FRIDAY」、文藝春秋「週刊文春」記者を経て、ジャーナリストとして独立。
 日韓関係、人物ルポ、政治・事件など幅広い分野の記事執筆を行う。著書に「韓国人韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」(小学館新書)、「完落ち 警視庁捜査一課『取調室』秘録」(文藝春秋)など。スクープの裏側を明かす「元文春記者チャンネル」YouTubeにて配信中

Note:赤石晋一郎

Twitter:@red0101a

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