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圧巻の北京五輪開会式、絶賛やまず…東京五輪の酷さ際立ち完全敗北、文化力の差が鮮明

文=編集部、横山渉/ジャーナリスト
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北京五輪の公式サイトより

 北京オリンピック2022(北京五輪)の開会式が4日に行われ、そのダイナミックかつ魅惑的な演出に絶賛の声があがる一方、これと比較して昨年の東京五輪開会式の“酷い演出”が改めて批判される事態となっている。

 今大会では、中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害などに抗議し、外交的ボイコットをする国が相次いだ。「ボイコット」が政府関係者と選手団の両方が不参加なのに対し、「外交的ボイコット」は選手団を派遣するものの政府関係者などは不参加となる。

 昨年12月6日にアメリカが表明し、オーストラリア、イギリス、カナダ、リトアニアが続いた。日本は外交的ボイコットという表現を避けつつも、閣僚など政府代表団の派遣を見送る。ニュージーランドは新型コロナ感染拡大を理由にしている。

 EUの欧州議会は昨年7月、加盟国に対し外交団を派遣しないよう求める決議を採択した。そして1月20日、欧州議会は2回目の決議を採択した。しかし、決議に拘束力はないため、北京後の五輪開催国であるフランスとイタリアはこれに同調しない。インドは2月3日に外交的ボイコットを表明した。インドの場合は国境で中国と対立を続けていることが背景にある。

 開会式にはロシアのプーチン大統領など25カ国から国家元首クラスと、グテーレス国連事務総長、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長などが参加。中国の人権侵害ということでは、昨年、女子プロテニスの彭帥が、中国の前副首相に不適切な関係を迫られたことなどをSNSで告白したのちに消息不明になっていると大きく報道された。五輪開催中にIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長と会う予定であると発表されており、こちらも注目されている。

 開会式といえば、昨年の東京五輪では、狂言師の野村萬斎氏を演出総合統括に据えた演出企画チームが開催前年に解散となり、元電通のクリエイティブ・ディレクター、佐々木宏氏が総合統括に就任したものの、女性への侮蔑的な企画を提案していたことや、制作チームのリーダーだった演出家のMIKIKO氏が組織委の上層部によって辞任に追い込まれていたことが発覚。

 さらに開会式直前には楽曲担当の小山田圭吾氏(コーネリアス)やショーディレクターの小林賢太郎氏の過去の問題発言に批判が広まり辞任するなどゴタゴタが続いたこともあり、演出内容に不安の声が高まっていた。そして案の定、開会式が始まるとSNS上では「めちゃクチャつまらない」「ショボい」「死ぬほどダサい」と酷評が続出。「金返せよ。外国に恥ずかしくて行けないよ。いかにバカだったのかわかるでしょうね、日本は」(タレントのビートたけし)などと、著名人たちからも一斉に批判を浴びることとなった。

総合演出はチャン・イーモウ

 それだけに今回の北京五輪の開会式が注目されていたわけだが、総合演出は『紅いコーリャン』『紅夢』『英雄』などで知られる世界的な中国人映画監督で、2008年の北京夏季五輪でも開閉会式の演出を担当したチャン・イーモウ(張芸謀)が担当。北京国家体育場(通称「鳥の巣」)で行われた開会式では冒頭、巨大スクリーンに中国で季節を表す「二十四節気」に合わせたオープニング映像が映し出された後、フィールドには緑色に光る長い棒状のものを持った大勢の出演者が円状になり、「立春」を表現するパフォーマンスを展開した。

 LEDで浮かび上がる蝶や鳥との幻想的なコラボレーションを見せ、棒状のものが白く変化すると、タンポポの綿毛が舞い散るシーンが再現された。次に、大規模な花火が打ち上げられ、上空には花火で「立春」「Spring」という文字が描かれた。国家掲揚に移ると、一般人の子どもが管楽器で演奏する中国の代表曲「私と私の祖国」に合わせてさまざまな衣装に身を包んだ人々が国旗を渡していった。

 そして暗くなったフィールドでは、巨大なLEDを使って、中国の有名な言葉「黄河の水 天上より来たる」にちなんで、一滴の墨が天から降り注ぎ大河になるまでを描いた荒々しいシーンを表現。すると地面から白く光る巨大な長方形が地上に現れ、そのなかに24本のレーザー光線によって過去のすべての冬季五輪大会が紹介されたかと思いきや、その長方形は氷が砕け散るかのように粉々に崩れ、中から五輪のマークが登場。氷でできたかのようなキラキラした五輪マークが上空に上がると、その下に現れた入り口から選手の入場が始まった。

「日本はもう完全に没落国家だね」

 一連のあまりに美しく息をのむ演出に、Twitter上では次のように絶賛の声が多数あがっている。

<流石!中国!CG技術は世界一>(原文ママ、以下同)

<良いなー。統一感あるし見てて楽しい>

<映像技術がエグいほど綺麗で凄すぎる…。そして演出?進行?に無駄がなくて良い!>

<二十四節気のカウントダウン素敵。やはり、この国は、文化の先生だな>

<華やかで床一面映像だし、これが見たかった開会式>

<中国とは色々とあるけれど素晴らしい開会式!>

 また、次のように東京五輪と比較する声も続出している。

<東京オリンピックとの差がありすぎw 東京は本当にセンスなかった!>

<北京が圧倒的な先進国になってて日本はホントに置いていかれた感じ>

<中国の開会式凄いな。。日本はもう完全に没落国家だね>

<東京オリンピックなんであんなにダサかったんだ?>

<これが中国と日本の技術力の差です>

<短期間で立て続けにやってるから比べられるよね>

<全世界が望んでた理想の開会式じゃん 日本の開会式を教訓にしすぎてる>

<もう日本は中国に敵いませんわ>

<東京よりひどい開会式は金輪際見られないと思うと貴重に思えてくる>

<東京オリンピックの酷さを再認識したわ>

 企業のブランディング・PR戦略などを手掛けるクリエイティブ・ディレクターはいう。

「ダイナミックさ、美しさ、無駄のないテンポの良さをはじめ、まさに“圧巻”という言葉がふさわしい。残念ながら東京五輪は“完全敗北”という印象。ここまで差が出たのは、やはり世界的な映画監督で前回の北京夏季五輪の演出も手掛けたチャン・イーモウに、すべての権限が集められ、彼の強力なリーダーシップのもとで全体を通じて統一感のある演出が実現されたという面が大きいだろう。東京五輪では明確なトップが定まらず、次々と演出チームのメンバーも変わり、混乱を極めた。基本的には電通が仕切っていたものの、結局“広告屋”の発想の域を出られていなかった。政治家など外部の人間が演出内容に口を挟んだのも禍した。

 東京五輪の開会式では、タレントや俳優、歌舞伎役者、歌手、有名アスリートなどが“ごった煮”状態で登場したが、北京五輪ではチャン・イーモウの方針でそうした有名人が一切に登場せず、一般の国民のみで構成した点も評価できる。エンターテインメント力、文化力という面で、現時点での中国と日本の国力の差をまざまざと見せつけられた印象」

91の国・地域から2800人以上の選手が参加

 北京五輪の競技(予選)はすでに2日からスタートしており、20日の閉会式までウインタースポーツの熱い戦いが繰り広げられる。北京は2008年夏季五輪に続いての開催となり、史上初めて夏冬の五輪を開催する都市になる。そのため、夏季五輪の会場となった施設の一部が再利用される。

 今大会では冬季大会史上最多の109種目が実施される。ジャンプ混合団体、フリースタイルのビッグエア男女とエアリアル混合団体、スノーボードクロス混合団体、ショートトラック混合リレー、ボブスレー女子1人乗りの計7種目が新種目だ。

 91の参加国・地域から2800人以上の選手が参加する。日本人選手の数は、国外の冬季五輪としては過去最多の124人。新型コロナウイルスの感染拡大や新疆ウイグル自治区をめぐる人権問題の影響で、いま一つ盛り上がりに欠けるともいわれるが、昨年の東京五輪がそうだったように、始まってしまえば日本人が毎日熱狂するのは間違いない。

中国のゼロコロナ政策が影響及ぼす大会運営

 北京では新型コロナ対策の厳しい規制が行われており、一般向けのチケットは販売されなかった。会場に入れるのは、北京五輪大会組織委員会による招待客、政府機関や国有企業などが分配したチケットを持っている人だけだ。

 組織委は選手や関係者らに対し、外部との接触を禁じる「バブル方式」を徹底する。大会関係者は入国前後に検査を受け、陰性を証明する必要がある。バブル内でも毎日検査が行われ、マスク着用が義務付けられている。選手村のオープンセレモニーも中止になった。

 しかし、3日現在、出場予定の海外選手およそ50人が中国への入国前後に陽性と判定されていたことが、わかった。陽性が発覚した場合は隔離され、その後の検査で24時間で2回陰性とならなければ、競技に出場できない。

 スキージャンプ女子で金メダル候補のオーストリア選手ほか、スノーボードのスロベニア選手やアイスホッケーのスウェーデン選手など、合わせて9人が出場できなくなった。

羽生結弦の3連覇なるか 日本人メダル17個の予想も

 注目のメダル争いだが、日本人選手は冬季史上最多だった平昌大会の13個(金4、銀5、銅5)を上回りそうな陣容だ。米データ会社グレースノートは開幕30日前、日本選手団は金4個、銀4個、銅9個の計17個のメダル獲得を予想している。なかでもフィギュアスケート、ジャンプ、スピードスケート、フリースタイルスキーなどでメダル獲得が有望視される。

 男子フィギュアの注目はなんといっても羽生結弦。ソチ、平昌に続き、3連覇の達成に期待がかかる。女子はROC(ロシア・オリンピック委員会)の3選手が表彰台を独占するとの予想もあるが、日本選手権を制した坂本花織がその一角を崩せるか。

 グレースノートが優勝を予想しているのは、スピードスケート女子1500メートルの高木美帆のほか、ジャンプ男子ラージヒルの小林陵侑、スノーボード男子ハーフパイプの戸塚優斗、女子ビッグエアの鬼塚雅だ。男子ハーフパイプは、ソチと平昌で銀を獲得した平野歩夢が金の悲願達成なるかも見どころ。このほか、モーグル男子は堀島行真、女子は川村あんりがメダル候補だ。

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