ビジネスジャーナル > 企業ニュース > ツタヤ、レンタル縮小は想定通り?
NEW

ツタヤ、レンタル大規模縮小は危機ではなく想定通り?着々と進むビジネスモデルの大変貌

文=二階堂銀河/A4studio
ツタヤ、レンタル大規模縮小は危機ではなく想定通り?着々と進むビジネスモデルの大変貌の画像1
CCCが展開する「SHARE LOUNGE」

 TSUTAYAの最大手フランチャイジー(フランチャイズ加盟企業)であるトップカルチャーが、2023年10月期を目処にレンタル事業から撤退すると今年7月15日に発表した。トップカルチャーが抱えるTSUTAYAは、全国に約1,100店舗以上あるうちの約70店舗にものぼる。

 音楽・映像ソフトなどのレンタル事業の需要が衰退している原因の一つが、サブスクリプションサービスの普及だ。矢野経済研究所が2019年4月に発表した調査によると、2018年度の音楽・映像サービスなどのサブスク国内市場規模は5627億3600万円、23年度には8623億5000万円にまで増加するとの予測もある。

 こうした時流を踏まえ、TSUTAYAのフランチャイズ本部であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、どういった未来を見据え、経営計画を立てているのだろうか。また、トップカルチャーのレンタル事業撤退は想定内なのか。CCCの蔦屋書店カンパニー 広報室(以下、TSUTAYA広報)に話を聞いた。

運営本部の方針どおり?

「もともと当社としては、レンタル事業を継続しながらも主事業をレンタル事業から書籍販売事業に転換していく方針を、ここ数年のあいだフランチャイズ加盟企業に向けて提示していました。その方針に基づいて、トップカルチャー様も書籍販売事業を主軸にコワーキング事業や特撰雑貨文具ジャンルの拡大、および話題性の高いテナントリーシングを強化することに決定されたと聞いております。

 ですから、トップカルチャー様はTSUTAYAとしてのレンタル事業から撤退すると発表したものの、当社とのフランチャイズ契約そのものを破棄したのではなく、むしろ目指す方向性は同じと言えるわけです」(TSUTAYA広報)

「撤退」というニュースの見出しだけを見るとマイナスな印象があるが、本質的にはCCCもトップカルチャーも同じ方向を向いているというわけか。

「最大手フランチャイジーのトップカルチャー様とともに、より顧客価値の高い書店事業を進めております。また、TSUTAYA事業全体としても大きな影響はございません。我々の提供するサービスや場のあり方も時代とともに変化しています。

 TSUTAYAは創業以来レンタルショップではなく、ライフスタイルを提案する場所として展開して参りました。お客様の映像や音楽の楽しみ方の変化によりレンタル利用は減ってきておりますが、現在でもネットではなくDVDなどのソフトで映像を楽しみたいというお客様も多くいらっしゃいますので、レンタル事業は継続して参ります。

 例えば『SHIBUYA TSUTAYA』では、映画ファン待望の未DVD化映像作品を含む約6,000タイトルを取り揃えたビデオテープコーナー『渋谷フィルムコレクション』を展開し、多くのお客様にご利用いただいています」(TSUTAYA広報)

 時代の流れに合わせてフレキシブルにサービスを変えていく姿勢は創業時から継続しながらも、DVDやビデオを愛する消費者のニーズのためにレンタル事業も前向きに展開していくとのことだ。

TSUTAYAが今後力を入れる「書籍事業」と新業態「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」

 続いて、今後の主軸にしていく書籍販売事業について展望を聞いた。

「当社の書籍販売事業においては『書店ゼロの街をなくす』というビジョンを掲げています。そのビジョンのもとでは、書店の粗利率の改善が急務と考え、書籍販売事業の収益力向上につながる『買切り施策』や、『AIによる需要予測』などの取り組みを行い、フランチャイズ加盟企業様の店頭での書籍販売事業において粗利率35%を目指しています。

 さらに、2011年にはネット時代におけるリアル書店の価値追求を目的に、本を中心にしたライフスタイル提案書店として『代官山 蔦屋書店』を開業し、多くのお客様の支持を得ております」(TSUTAYA広報)

 そんなCCCは、新業態「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」でコワーキング事業への進出を掲げている。

「今年8月28日にトップカルチャー様の旗艦店である『蔦屋書店 新潟万代』にてSHARE LOUNGEをオープンし、国内では9箇所を展開しています。SHARE LOUNGEは、シェアオフィスの利便性とラウンジのような居心地の良さを兼ね揃えた施設です。こだわりの家具で彩った空間に、フリードリンクやナッツ、超高速Wi-Fiなどの充実したアメニティ、厳選した雑誌をご用意しています。

 また、カフェとしても、コワーキングスペースとしてもご利用いただけます。今後は、人と人が出会うコミュニティの場として、ワークショップやトークイベントなどを開催していく予定です。ライフスタイル提案企業として、新しい働き方を提案するとともに、国内各地に住まれるお客様の趣味嗜好等に合わせて、今後の新規出店を検討して参ります。

 TSUTAYA事業のほかにTポイントの運営、それに基づくデータベースマーケティング事業、グループとしては出版事業も行っている当社では、創業以来『カルチュア・インフラをつくっていくカンパニー』をミッションに掲げ、時代の変化に合わせてライフスタイルを提案してきました。現在はコロナ禍という未曾有の事態に見舞われていますが、時代の変化に合わせてお客様のニーズを先読みした新しいライフスタイルをご提案し、より顧客価値の高い店舗づくりを続けて参ります」(TSUTAYA広報)

 時流に合わせた柔軟で積極的な経営計画を展開するCCCに、レンタル事業の需要衰退に対するネガティブな思いは一切感じられなかった。今まで、一貫してその時代の人々のライフスタイルに合わせたサービスを展開し続けてきた同社は、今後も「カルチュア・インフラを、つくっていくカンパニー。」であり続けるべく舵を切っていくのだろう。

(文=二階堂銀河/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

ツタヤ、レンタル大規模縮小は危機ではなく想定通り?着々と進むビジネスモデルの大変貌のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

RANKING

5:30更新
  • 企業
  • ビジネス
  • 総合