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維新・伊東議員、マルチ企業セミナーで講演…参加した元会員が証言

文=編集部
維新・伊東議員、マルチ企業セミナーで講演…参加した元会員が証言の画像1
伊東信久氏公式サイトより

 故・やしきたかじん氏の主治医として知られる、日本維新の会の衆議院議員(大阪19区、10月31日投開票の衆院選で当選)の伊東信久氏(57)が行った“講演”に関して、とある疑惑が持ち上がっている。

「文春オンライン」(文藝春秋)は10日、記事『今度は“マルチ商法企業”セミナー 維新3回生・伊東信久議員が議員会館を不適切使用の疑い』を公開。特定商取引法第33条(勧誘目的の不明示)や同34条(不実のことを告げる行為)などに違反したとして、消費者庁が8月26日、業務停止命令を出した化粧品・水素生成器等連鎖販売業・訪問販売業「ITEC INTERNATIONAL(アイテック)」に関連する講演会が議員会館で開かれ、伊東氏がそれに出席していたというのだ。

 消費者庁が8月26日発表した行政処分によると、アイテックは同34条1項に関し、共同研究をした事実がないにもかかわらず、複数の大学名、研究機関、研究者の名前を挙げた上で、次のように商品を説明していたのだという。

「これがですね、世界で初めて発表するものですから、ほんとに凄いもの出てくると思ってください。そしてこれが研究してるところですよ。どこが研究してたか、共同研究、あの、技術の結集なんですよね。これ、今から8つの研究機関なんですけれども、言いますよ。a大です、これ、まず。そして、a大です。b大学です。そして、c大学です。c大ですね。そして、d大学。そして、e大学。そして、f大学、そして、えー、g大学。そして、h学会。この8つなんですよ。この8つの技術を結集したものがこれ、正にこん中に入っているやつです。なんで、すごい物が出てくるなと思ってください。ただ、なぜ、アイテックはそのように素晴らしい研究機関と色んなコラボレーションすることができるのか、っていうことなんですよ」(原文ママ)

 本件事案に関し、同社の山口孝榮オーナーら2名にも6カ月間の業務停止命令が出されている。

文春報道に伊東氏側は「講演は行ったが一般的なもの」

 冒頭の文春報道によれば、伊東氏は同社の目玉化粧品『MATRIX』シリーズの開発者や監修者として、広告などで紹介されていて、大勢の会員を前に何度も講演していたのだという。また、その会場に国会議員でなければ利用が許可されない議員会館も含まれていたというのだ。

 一連の文春の取材に対し、伊東氏の事務所は「伊東が、アイテックの化粧品製品『MATRIX』の監修者・開発者として活動したことはありません。また、そのような記載を行うことを了承したこともありません。同社ウェブサイト等にそのような記載があったものについては、事実と異なるものであり、既にかなり以前にアイテックに対して削除を依頼し、削除済みです」などと否定。10万円の謝礼の受領や2019年9月19日に議員会館で講演を行ったことなどを認めた上で、「講演の内容は、再生医療法やNKT細胞に関する一般的なものであり、JMS(アイテックの前身企業)の商品等に関するものではありません」と否定したという。

別の日には商品の並んだ演台で講演も?

 しかし、当編集部が10日午後11時点で確認したところ、インターネット上には同社関連のプレスリリースが複数現存していた。例えば18年7月1、2日の2日間、地方職員共済組合麹町会館と衆議院会館で開かれた『MATRIX』の商品発表会に、大阪大学国際医工情報センター招聘教授、前衆議院議員などの肩書で伊東氏が出席し、「再生医療と不老不死への挑戦」と題して講演したという内容のものも見つかった。

 文春の取材に対し、伊東氏の事務所が議員会館での講演を認めたのは19年9月19日のものだ。真偽は不明だが、別の日にも講演したということなのだろうか。当該プレスリリースの記事では、伊東氏が『MATRIX』商品のおかれた演台に立ち、講演していた様子を切り取った写真も掲載されていた。ただし写真には会場名や日時の記載はなく、衆議院会館、地方職員共済組合麹町会館のいずれで開かれたものかは不明だ。

 元アイテック会員は次のように語る。

「情報弱者との批判は甘んじて受けますが、セミナーでは伊東氏の講演のほか、世界的な研究者の名前もバンバンだされていました。医師でかつ前衆議院議員の方が出席するような商品説明会であれば、信用しますよね。少なくとも私は、ひとつのパッケージとして一連のセミナーの内容を受け取りました。講演内容と商品PRは関係がないと言われても……」

 厚生労働分野に明るい与党衆議院議員秘書は次のように指摘する。

「現役国会議員はもちろん、“落選しても次を狙うことができる有力な候補者”ともなれば、いろいろな方面から講演会のオファーがあるものです。しかし、まさにこういうことが起こりうるので、どこの事務所も講演の依頼元がどんなところかはリサーチします。

 報道の真偽はわかりませんが、伊東氏が“(講演依頼のあった)企業の商品説明などを受けていない”と弁解することこそが問題だと思います。どんな商品を扱う企業なのか、どういう説明会なのかを知らずに、政治家が講演を行うのはあまりにも危うい。私個人の経験ですが、実際に主催団体が“おかしな企業や団体”だった時があり、議員に講演をさせず、謝礼も拒否して帰ったことがあります。

 ましてや伊東議員は医師で研究者ですよね。アイテック社の主張が、学術的・医学的に正しいのか、ご本人で正しく判断できる立場だと思うのですが……。あらためてご本人から経緯などを説明されたほうが良いと思うのですが」

 いずれにせよ各党の国会議員や有力な議員候補者が、違法な活動を行う企業・団体の広告塔となるのは社会的に大きな問題だろう。日本維新の会本部の広報担当者に、所属議員、党員の“講演活動”に関する「ガイドラインや注意喚起の有無」などを問い合わせたところ、以下のような回答があった。

「個々の判断に任しております」

 また伊東氏の事務所にも連絡したが、11日午前時点で「担当者が本日不在」とのことだった。

(文=編集部)

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