国会の女性トイレで盗撮、防犯カメラが設置されない驚愕の理由…維新秘書は殺人未遂で逮捕
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
最近は国会議員の秘書や事務所スタッフの犯罪が目立ちますね。神澤も詐欺事件などについては書かせていただいていますが、今回はまさかの殺人未遂事件ですから、永田町も大激震ですよ。さすがに、過去にも例はなかったと思います。
4月25日の深夜、ネットニュースで速報が飛び込んできました。最初に報じたのは、朝日新聞(2021年4月25日 23時48分付)のようです。記事は「維新・梅村議員の秘書逮捕 知人を車ではね殺人未遂容疑」として、成松圭太容疑者が「25日午前2時45分ごろ、堺市堺区の路上で知人男性(31)を乗用車ではね、さらに車から降りて男性を殴るなどして殺そうとした」「男性は頭や足に軽いけがを負った」などと報じています。
日本維新の会の梅村みずほ参議院議員は、報道に先駆けてツイッターで自身の公設第1秘書が逮捕されたことを謝罪したことも書かれています。その梅村議員のツイートが秘書仲間たちの間で拡散し、夜中にも関わらず永田町の住人たちは大騒ぎとなりました。
成松容疑者は「ぶつけたことは間違いないが殺意はなかった」と容疑を一部否認しているそうですが、そもそもこのコロナ禍で夜中まで幼なじみとお酒を飲んで、ケンカになったくらいで飲酒運転の車ではねて、そのあと殴る蹴るの暴行って、秘書というより人として問題です。
ぶつける時点で死ぬかもしれないということは予想できたでしょうから、言い逃れは難しそうです。でも、被害者は軽いけがで済み、警察は呼んだものの最初は「交通事故」と言ったりするなど、成松容疑者に対して恨みはなさそうですね。
成松容疑者の謎の数々
それにしても、この事件については疑問しかありません。
なぜ公設第1秘書の立場でこんな事件を起こしたのかも超絶謎ですが、逮捕されて、なぜ「公設秘書」と名乗ったのでしょうか。そして、なぜ報道の前に梅村議員が自ら公表したのでしょうか。
また、共同通信は成松容疑者が「大阪維新の会の横倉廉幸府議の娘の夫」とも報じていますが、横倉府議の名前まで出す必要があったのでしょうか。維新はそこまで大阪でマスコミから嫌われているのかな、と疑問を持ちました。
もうひとつ、なぜ成松容疑者は梅村議員の秘書になったのでしょうか。一部報道では仕事ぶりはきちんとしていたようですが、維新の秘書たちによると、成松容疑者は堺市の出身で堺市議を目指していたそうです。それなら堺市議出身の高木かおり参議院議員の事務所で働く方が近道に思えますが、なぜ梅村議員事務所にいたのでしょうか。このあたりの事情は、国会勤務の神澤たちまでは伝わってきません。
ちなみに、日本維新の会には「梅村」姓の参議院議員が2人いるので、最初は情報が錯綜していました。「梅村議員の秘書が殺人未遂で逮捕されたらしい」とLINE で回ってきたのですが、「どっちの梅村議員?」ってなりますよね。梅村みずほ議員の事務所には枝野幸男衆議院議員の元秘書もいるので、「その人?」などと大騒ぎでした。
それにしても、日本維新の会は衆議院北海道2区の補欠選挙では落選ながら存在感を示せたのに、こんな不祥事で話題になるなんて、とても残念ですね。
国会内の女性トイレで盗撮事件
もうひとつの永田町の大事件が「盗撮」です。
事件があったのは4月23日だったのですが、27日の衆議院本会議前の議院運営委員会で報告があり、これまた騒然となりました。
すでに報道されている通り、4月23日18時前、国会議事堂の衆議院本館2階の女性用トイレを職員が利用していたところ、スマホで個室内を盗撮しようとした人がいたそうです。立憲民主党の国会対策委員会室の近くのトイレです。
女性が声を出して盗撮犯を追いかけたそうですが、1階で見失ったとか。それで公になったのが、「衆議院本館の廊下には防犯カメラが設置されていない」ということです。
実は、以前から議運でたびたび議案に挙がっていたのですが、共産党の「プライバシーの侵害」という理由による強い反対で、カメラの設置には至っていないのです。しかも、国会には警察が入れないので衆議院の警務部が対処したのですが、指紋の採取や聞き取り調査もなく、捜査をする気がないのがよくわかりました。
当然ながら、女性職員や女性秘書たちからは大ブーイングです。緊急事態宣言中で一般の方の入館は規制されていますから、内部の犯行が濃厚です。勇気を出して盗撮犯を追いかけた被害女性がいるのですから、その様子を目撃していた人もいるはずですよね。
そういう情報を集めて犯人を特定すべきなのですが、しないんです。対策として、巡視の強化と注意喚起の貼り紙をトイレに掲示することが発表されましたが、当然ながら女性陣は怒りでぷんぷんです。衆議院本館のトイレはただでさえ数が少ないのに、巡視が増えたら使いにくくてしょうがないです。
なぜ、当事者の声をもっと聞いて対策を考えてくれないのでしょうか。いい機会なので防犯カメラの設置が進めばいいのですが、共産党の秘書によると、その気配はまったくないそうです。
神澤が言えることは、読者のみなさまが国会でトイレをお使いになるときは「盗撮にくれぐれもお気をつけください」という貼り紙でも読んでください、ということだけです。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。