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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

河井克行元法相、保釈中に自民党と密約か…議員辞職&買収を認めた恐ろしい舞台裏

文=神澤志万/国会議員秘書
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約8カ月ぶりに保釈される元法相の河井克行被告(写真:日刊現代/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 4月1日、公職選挙法違反(買収など)の事件で公判中の河井克行元法務大臣の議員辞職がようやく報じられましたね。「まだ議員辞職してなかったんだ?」と思われた方も多いかもしれません。妻の河井案里前参議院議員は1月21日に有罪判決を受けて、2月3日にとっくに議員辞職していますからね。

 河井元法相が4月に入ってから辞職したのは、4月分の歳費(お給料)をもらうためでしょう。1日でも在籍していれば、その月の分は支払われるからです。ちなみに、歳費月額は129万4000円ナリです。

 また、在籍期間も4月まで算入されます。在籍期間と任期の期数は国会での座席や役職を決めるときの基準になるので、とても重要です。もっとも、河井元法相は「二度と立候補しない」と宣言しています。こうなってしまうとなかなかお声はかからないでしょうが、どうなるかわからないのが永田町というところです。

 何もしないのに130万円も税金からもらうのもどうかと思いますし、議員辞職のタイミングを自民党と調整したことはマスコミもわかっているはずです。もっと追及してほしいです。

河井元法相と自民党の“密約”とは

 当初は容疑を否認していた河井元法相でしたが、3月23日の被告人質問で一転して買収を認め、「責任のすべては私が負う」と述べました。

 国民の多くは、2019年の参議院議員選挙で自民党本部が案里候補に1億5000万円を提供したことに疑問を持っていると思います。菅義偉首相は「支部の党勢拡大などの政党活動のため、党内で定めた基準と手続きに従って、党本部から適切に交付された」と説明していますが、本当にそうでしょうか。

 もちろん、自民党は「なぜ案里候補に1億5000万円なのか」を説明することはできないでしょう。理由なんてないからです。「当時の安倍晋三首相と菅官房長官に言われて出しただけ」だと思います。永田町は、そういう世界なんです。根拠のない支出が許されてしまうんですね。

 思えばこの事件、もとはといえば、安倍首相(当時)との確執が取り沙汰されていた溝手顕正前参議院議員を落選させるために起きたものでした。いわば案里候補は「刺客」だったんです。そして、見事に溝手候補を落選させた河井元法相は自民党からすると立派な功労者なので、袖にはできないわけです。保釈後に自民党から「そんなお話」があって、今回の「否認一転、認める」になったのでしょう。

 とはいえ、河井元法相が案里陣営とは別に「私財をなげうって買収した」と言っているのは、おかしくないですか? 1日でも長く在籍して歳費を1カ月でも多くもらおうと思っているような人が、「私財をなげうつ」ものなのでしょうか。

 神澤は、河井元法相の保釈中に「密約」があったと思います。自民党は河井元法相に起訴内容を認めて議員辞職させ、本部に迷惑がかからないよう「1億5000万円の使途は収支報告書の通り」とすることなどを約束させたのだと思います。

 議員辞職のタイミングも、密約によるものでしょう。衆議院議員の任期満了が10月なので、衆院広島3区の補欠選挙が次期衆院選に統合される3月16日以降として、4月の歳費はもらえるようにしてあげたのかな、と。検察は河井元法相を保釈すべきではなかったですね。

 いずれにしろ、河井元法相が「罪は全部かぶる。選挙スタッフへの報酬は自分のポケットマネー」として、裁判所もそれを認めるでしょうから、事件の真相は永久にわからないことになります。

信頼関係と口約束で成り立つ永田町の流儀

 永田町では、他の先進国のように書面で契約することはまずありません。すべて口約束なんです。それは「信頼関係がある間だけ効力がある」ということですから、河井元法相と自民党の密約も今後どうなるかはわかりませんよ。

 本当に恐ろしい世界で、深入りすると命を落とすことにもなります。神澤も、ずっと永田町にいて、その恐怖を肌で味わったことがあるので、決して深入りしないように自戒しています。神澤の場合は女性なので、この仕事を長く続けていられるのもあるかもしれません。永田町では、女性秘書は決して重要人物と思われないので、狙われないんです。

 でも、最近はたまに「監視されているような気配」を感じることもあります。森喜朗元首相ではありませんが、年齢とキャリアを重ねているので、永田町ではもはや「女性」と思われていないのかもしれません(苦笑)。

 ちなみに、最近の秘書たちの合言葉は「レストランなどで近くに無言のカップルがいたら、公安(公安警察)か内調(内閣情報調査室)かマスコミだと思え!」です。今はICレコーダーもペン型やネックレス型などいろんな形があって、なかなかわかりませんしね。怖い怖い。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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