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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

「どうせ中止だから女性で」…逆差別で決まった橋本聖子新会長、議員辞職しない“金勘定”

文=神澤志万/国会議員秘書
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東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の後任会長が橋本聖子氏に決まりましたね。みなさんはどうお考えですか? 正直、永田町は相当ざわつきました。誰も予想していませんでしたから。

 橋本氏は2月18日に五輪組織委員会からの就任要請を受諾したそうですが、17日に「後任候補を決める検討委員会が橋本五輪担当大臣に一本化」という速報が出たときには、正直「ええっ?」という感じでしたね。

セクハラ問題の橋本聖子をわざと新会長に?

 そもそも「川淵三郎さん騒動」後に名前が挙がった森喜朗前会長の後任人事の候補者は、日本オリンピック委員会の山下泰裕会長の他は、橋本氏、山口香さん(筑波大学大学院教授)、小谷実可子さん(スポーツディレクター)、高橋尚子さん(日本陸上競技連盟理事)と、みんな女性のメダリストでした。

 みなさん輝かしい業績をお持ちですが、ここまで女性が多いと、なんかもう「ジジイがダメなら女でいっとけ感」しかないですよね。これって逆差別じゃないですか?

 それに、橋本氏はもともと森前会長に近い人ですから、森前会長の意向は必ず反映されます。政府としては、どうしても五輪を開催したいのでしょう。でも、世論調査などでは中止や延期を求める声が増えていますよね。2月18日付のロイターの企業調査では、「中止」・「再延期」支持が6割を超えたことが報じられています。これでもがんばれるのは橋本氏しかいないということなんでしょうか。

 橋本氏は、かつてはトップアスリートでしたし、国会議員として出産・育児のご経験もあるので、今回も候補になる理由はわかります。しかし、過去の「セクハラ問題」はどうなるのでしょう? すでに海外のメディアも大きく報じていますから、必ず問題になります。「もしかして、もうオリパラをやりたくないから、わざと橋本氏にしたのでは?」という声すらあります。

 橋本氏のセクハラ問題とは、2014年のソチ五輪後の打ち上げで、フィギュアスケート日本代表の高橋大輔選手に無理やりチューした件ですね。「週刊文春」(文藝春秋)が同年の8月28日号で報じて、大騒ぎになりました。この件については、神澤も少し書かせていただいています。 

 関係者しか入れないパーティーで撮影されていますから、誰か悪意のある人が文春に持ち込んだようです。まぁ、橋本氏も不用心でしたね。

 実は、神澤も以前は橋本氏に期待していました。日本の女性国会議員で出産された方は、本当に少ないからです。2000年に出産されたときは、なんと51年ぶりの国会議員の出産として注目されました。

 ちなみに51年前に出産されたのは、日本初の女性国会議員の1人だった園田天光光(そのだ・てんこうこう)さん(1919~2015年)です。96歳で亡くなられた園田さんは、いろいろなエピソードがある方なので、気になったら調べてみてくださいね。

 園田さんは、当時若手議員だった橋本を擁護して、国会議員の事実上の産休制度誕生に貢献されています。すでに80歳を超えておられました。国会議員の産休など、当時はまったく理解がありませんでした。橋本氏も議員辞職を迫られていましたが、制度ができたおかげで議員を続けることができたのです。

 でも、せっかくいい制度ができたのに、橋本氏が国会を休んだのはたったの3日間でした。ぜひもっと休んでいただいて、「いい前例」をつくっていただきたかったですね。現在は衆参両院とも出産による欠院を認めていますが、期間は明確に定められてはいないのです。

「お産は病気じゃないから」といって、すぐに働けるのは限られた人です。元トップアスリートだからできたことで、一般の女性は産後2カ月程度は無理をしてはいけないと思います。

 また、橋本氏は男女共同参画担当大臣も兼任していましたが、あまり熱心なご活動は記憶にありません。橋本氏は、いわゆる一般女性の代表ではないと思います。国民を代表する国会がこんなふうでは、少子化が進むのは当たり前ですよね。

 もうひとつ、気になるのは橋本氏の金銭感覚です。五輪組織委員会の会長に専念するために議員辞職を勧める声もありますが、橋本氏は「国会議員を辞めたら収入が減るので、議員と兼務できるなら引き受ける」と裏で交渉していた……という噂があります。

 あくまで噂なのですが、真に受けている人も多いです。五輪組織委員会会長は収入で判断するポストではないと思いますが、「しょせんカネか……」とぼやく関係者もいます。

丸川珠代より五輪相に適任の人物とは

 また、五輪相の後任には丸川珠代参議院議員が再任されましたが、これも微妙ですよね。五輪相経験者で「女性」だから選ばれたとしか思えません。

 神澤は、五輪経験者のアスリートということでは、元文部科学大臣の馳浩衆議院議員が適任だったと思っています。まぁ、馳議員も森前会長の「子分」ですから、あまりに森色が強すぎるという判断があったのかもしれません。能力的には申し分なかったと思いますが、能力よりも思惑が優先する永田町の「論理」でしょうね。

 橋本氏の会長就任で、「やっぱり夏のオリパラは中止かな」という懸念も強くなってきました。何が何でも開催するために、パラリンピックだけでも中止にして負担を減らすべき、という話も非公式に出てきているようです。

「どうせ中止になるオリパラだから、女性でいいだろう」のように言う関係者もいます。それが本当なら、女性を悪い方に利用していますよね。残念な話です。

 でも、決まったからには、お二人にはがんばっていただきたいです。特に橋本新会長には、国会議員としての歳費はこれまでどおり入るのですから、収入の心配はせずに、五輪組織委員会会長として世界に恥じない運営をお願いしたいです。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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