不祥事続きの菅政権下でも自民党の支持率が“大して下がらない”理由…千葉県知事選では大敗
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
もうすっかり春。卒業式シーズンですね。昨年は、残念ながらほとんどの学校で卒業式を見合わせていましたが、今年は駅前などで袴姿の女子学生を見かけます。コロナ禍でも工夫しながら卒業式をしているようで、微笑ましいです。
菅首相が宣言再々延長できなかった事情
1都3県の緊急事態宣言は3月21日に解除されましたが、まだまだ新規感染者数が下げ止まらない状況ですから、賛否両論が報じられていましたよね。特に医療関係者の間では、「緊急事態宣言が明けて、また感染者が増えたら対応しきれない。勘弁してよ……」という声も聞こえます。
でも、自民党の総裁でもある菅義偉首相は、どうしても3月21日に緊急事態宣言を終了させたかったんです。なぜなら、その日は自民党の党大会が予定されていたからです。
これまで国民に「自粛」を要請しておきながら、一部の自民党国会議員たちが深夜まで外食をしたり、不倫を疑われるような行動をしたりしていることが報道されて、自民党は関係者の処分に追われてきましたから、さらなる批判は浴びたくなかったのだと思います。
結局、この日は国会議員のみの出席で、地方議員たちはオンライン参加となりましたが、会場の「密」は避けられませんでした。
それでも自民党支持率が安定している理由
自民党は菅政権発足から受難続きですね。総務省の違法接待問題が武田良太総務大臣の会食問題まで飛び火するなど、まったく鎮火していません。でも、なぜか世論調査では自民党の支持率はそれほど下がっていません。
神澤なりに分析してみると、立憲民主党の支持率が下がっているので、その分が自民党に上乗せされているようです。野党第1党なのに存在感を示せない最も大きな理由は、蓮舫議員など人格否定型の追及を行う議員を表に出すからです。コロナ禍でステイホームを強いられている国民には、あのキャンキャン声が不快に感じられ、正当な追及をしていても耳に入らなくなってしまっているのだと思います。戦法を変えない限り、立憲民主党の支持率低下は続いていくでしょう。
好調だった日本維新の会は、吉村洋文大阪府知事の「コロナにはイソジンが効く」発言などで人気に陰りが見えてきたのと、冨田裕樹大阪府池田市長の「市役所にサウナ持ち込み問題」とパワハラなどで、支持率が下がってきています。
ちなみに、共産党との共闘を拒否した国民民主党の支持率は、少しではありますが上向きです。それぞれ、各党の方針や存在感を国民に受け入れてもらうことが重要なのではないでしょうか。
一方で、3月21日に投開票が行われた千葉県知事選挙は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、社民党の各党の県組織のほか自公の一部国会議員の支持も受けた無所属新人で前千葉市長の熊谷俊人氏が当選しましたね。
自民党は20年ぶりに推薦候補を出したのに大敗です。次期衆院選を占う選挙としても注目されていましたから、これまた大きな痛手となりました。この大敗を受けて、自民党がどう立て直していくかも注目です。
日米首脳会談後の解散総選挙が急浮上
そんな中、解散総選挙の噂もちらほら出てきています。神澤は、4月の菅首相訪米後の解散総選挙は可能性があるのではないかと感じています。自民党内では、支持率があまり下がっていないことを背景に総選挙の気運が高まってきているからです。
また、前回の総選挙は2017年10月でしたから、ここまで長きにわたって総選挙が行われないのも珍しいんですよ。落選中の候補予定者など党本部の指示で総選挙に備えて選挙事務所を用意している陣営は、家賃や人件費がパンク寸前で、ストレスもたまりにたまっています。
もちろんコロナ対応が最優先であることは、菅首相も総選挙に備えている人たちも承知はしていますが、この支持率安定中に総選挙をしたいという内部の声がものすごく高まっているのです。
読者のみなさまは、次の選挙で投票に行きますか? 投票所が密な状態だったら不安だからと、行かない人が増えるかもしれませんね。実は、それは与党にとってはありがたいことなのです。多くの組織票を有する与党は投票率が低ければ大敗はしないので、議席数も現状より少し減るだけで済むと読んでいるのです。正直、そんな皮算用は通用しないと言いたいところですが、みなさんの行動次第です。
4月8日告示、25日投開票の長野・広島選挙区の参議院補欠選挙の日程は変わりません。それだけみなさんの税金が無駄に使われるということですが、政府の方々はそんなこと気にもしていません。無駄遣いを食い止めるのも、みなさんの行動次第なのです。
本記事では、「投票に行きましょう!」「投票に行ってください!」とみなさんに呼びかけるくらいしかできませんが、「どうせ行ったって変わらない」と思わずに、行動してくださることに期待しています。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。