YouTube上で、ゲームセンターのクレーンゲームやメダルゲーム、ガチャガチャなどをプレイして景品を効率よく獲得する動画を公開して人気を得ている「つるなか」が、「バンビーノ」と呼ばれるクレーンゲームの“攻略法”を公開して物議を醸している。
つるなかは12月3日、『遂にあの有名な確率機を完全攻略したので、日本全国の高額景品を狩りまくってみたwwww【バンビーノ攻略前編】』とのタイトルで動画を公開。
つるなかによると、バンビーノはパチンコなどの遊技機でいうところの“確率機”で、店側が設定した金額に達するまで課金されないと、景品を獲得できないようになっているという。
そんななか、つるなかはバンビーノの筐体を自ら購入して研究し、“攻略法”を編み出した。バンビーノは、近くで目的のカプセル等をつかんだ場合にはすぎに落とし、遠くでつかんだ場合は穴の近くまで運んでから落とすようになっているという。
攻略法では、コインを投入する前に操作ボタンを押し続けると、機械はすでにアームを動かしていると誤認し、近くでカプセルをつかんでも穴の上まで運んでくるようになると説明。そしてつるなかは実際にプレイし、たった500円でNintendo Switchとソフトを獲得するなど、少額の投資で高額な景品を次々に獲得してみせた。さらに、全国各地のゲームセンターを訪れ、同様の手法で景品を乱獲したようだ。
この動画が公開されると、瞬く間に全国のゲームセンターで同様の手法で景品を獲得する行為が頻発し、各地でバンビーノが稼働停止したり、この“攻略法”を使えないように対策した機器に入れ替えられたりしているという。
12月10日には【後編】が公開されると予告されているが、その内容はあまりに景品を大量に獲得するつるなかが不正な手法を使っていると怪しんだ店側が、警察を呼ぶ事態に発展するものだという。
だが、ネット上では、「そもそも確率機が違法なのではないか」「一定額までお金を吸い込むまで景品が取れないように設定するのは景品表示法などに違反しているはず」といった指摘が出ている。実際のところ、“確率機”は違法なのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、次のように解説する。
「このような話、いろんな方がいろんなことを言ってますが、実は『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法、風営法)』の話です。ゲームセンターは風適法2条1項5号の営業に該当するので、営業するためには法律に基づいて公安委員会から許可をもらわなければなりません。
ところで、勝つとパチンコ玉を与えられ、それを第三者に買い取ってもらって現金化するという、ふざけたシステムのパチンコ店は、風適法2条1項4号の許可が必要です。
ゲームセンターにあるゲーム機器は本来、『遊ぶ』ことが目的の『ゲーム』なので、何かをもらえるものではありません。格闘ゲームやレースゲームでどんなに勝ったって、何ももらえません。これに対し、パチンコ店は最初から何かをもらえることが期待される(射幸心をそそる、といいます)ものなので、別モノです。
しかし、『ゲーム』にもかかわらず、その勝敗によって何かをもらえるとなると、『射幸心をそそる』おそれが出てくるため、風適法2条1項4号の許可がないのに、風適法2条1項5号の許可だけで営業してはダメなのです。
ここで『クレーンゲーム』ですが、これは確かに『ゲーム』の勝敗によって景品がもらえたりもらえなかったりするので、『射幸心をそそる』おそれがあるわけです。
もっとも、ここからが法律ではなく世の中にある“よくわからない取り決め”(例えば、ソープランドが“売春にならない”という取り決め)なのですが、警察の話によると『クレーンで釣り上げるなどした物品で、小売価格がおおむね800円以下のものを提供する』なら、『ゲームの勝敗によって、景品がもらえたりもらえなかったりすることにはならない』、すなわち射幸心をそそることにはあたらないとされています。世の中には、こういう“よくわからないルール”がたくさんありますね。
ところで、『確率機』のクレーンゲームですが、『確率機』がどうのこうのというより、景品が『800円』以上であるという時点でOUTです。とっとと摘発されてほしいところです」
高額景品を掲げているゲームセンターは数多くあるが、それらは違法である可能性が高いわけだ。つるなかの次回動画で、店側が警察を呼ぶシーンがあるようだが、店側はどのように説明するのだろうか。
(文=編集部)