
昨年の衆議院議員選挙で議席を大幅に増やし、一人勝ちともいえる状態だった日本維新の会。その後も議員の文書交通費問題に食い込むなど、主にメディアを通してその存在感は一層増しているといえる。今後の政局を占う上でも極めて重要と位置づけられる、今夏に行われる参議院議員選挙でも複数地区に候補者を送り込む予定で、より一層国政での影響力を増すことは必至だ。
「実際に永田町での立ち位置も変わってきた」と、ある野党議員はため息交じりに言う。
「昨年の衆議院戦まではローカル政党だった維新の会ですが、永田町の数の論理でいうところ、その存在感は無視できないまでになってきています。ただ、彼らは野党の中でも特殊で、内々ばかり見る議員が多く、党派を越えて人付き合いするような人物は非常に限定的でした。実際に、政策や法律に明るい議員もほとんどいません。
だから野党間でも相手にされていなかったのですが、それでもTwitter上などでは人が変わったように舌戦という名前の“プロレス”を繰り広げることで人気を拡大してきました。しかし、そのパフォーマンスが派手でウケていることから、『維新を見習え』という一部の幹部がいることに辟易しています」
事実、吉村洋文大阪府知事や橋下徹元代表に象徴されるように、これらのネット戦略で支持を拡大してきたという見方は、維新の会内部でも根強い。そこにシンパシーを感じる熱狂的な“信者”が自分たちの存在を盲目的にしている、と指摘する人間も党内に存在する。一方で、これらのネット上での後押しは諸刃の剣でもあると、維新の会に所属する議員は危機感を募らせる。
「もともとスキャンダルが多い政党ですが、上に甘く、下に厳しいのがウチの特徴ではあります。その点に不満を持つ議員も少なくなく、直近では松井一郎大阪市長が大阪独自ルールを破り30人会食した際も、なぜか会見で逆切れのような態度で驚きました。そういった際に割を食うのは下の議員です。
ただ、そういったスキャンダルがニュースに出ても、一定の熱心な信者たちがSNSで火消しに走ったり、ニュース記事のコメント欄に好意的なコメントを寄せたりしてくれています。党内でも、その数の多さから冗談で『誰かネット工作員を雇っているのでは』という声があがるほどでした。だからそういったパフォーマンス先行の体質がいつまでたっても改善されない部分があります」