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女性管理職、自ら希望は1割、昇進希望は5割以下…職場に「休めない」空気、根強く

文=Business Journal編集部
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同僚に指示を出す女性
同僚に指示を出す女性(GettyImagesより)

 人材サービス大手Adecco Groupの日本法人Adecco Group Japan(東京都千代田区)は8日、課長職相当以上の管理職女性を対象に実施したアンケート調査『昇進の動機や管理職としてのキャリアに関する意識調査』の結果を公表した。回答を得た女性管理職1065人のうち管理職への登用を自ら希望した人は1割にとどまり、「さらに昇進・昇格を希望する人」は半数以下だったという。

 調査は2021年12月28~29日にインターネット上で実施。同日の“国際女性デー”に合わせて企画した。同社広報部によると「調査対象者1065人全員から回答を得た」という。

 調査結果によると、「管理職(課⻑相当以上)に昇進したきっかけ」では、「上司からの打診があり、快諾した」が 58.7%で最も多く、次いで「上司からの打診があり、仕⽅なく引き受けた」が25.5%と多かった。

「⾃⾝の希望(⾃発的)」で昇進した人は全体の11.9%に留まった。同社が2018年に実施した同じ設問の調査(550人が回答)と同様の結果だったが、自発的に昇進した人は2.1ポイント増加したという。

 管理職になるにあたって重視したこととして、「仕事のやりがい」(55.3%)、「給与」(50.9%)、「ワークライフバランス」(34.8%)のポイントが増加した。

「さらに昇進したくない」51.4%

 一方で、今後さらに昇進を希望する⼈は48.6%にとどまり、18 年調査比で 5.8 ポイント減少した。「昇進・昇格したくない」と回答した547人を対象に、その理由を聞いたところ、最も多かったのは「ストレスが増えるから」(56.5%)、次いで「現在の職務で満⾜しているから」(41.5%)、「⾃分には向いていないから」(40.0%)の順となったという。

「昇進・昇格に挑戦したい」と回答した518名を対象にその理由を調査したところ「給与アップ」(47.9%)を挙げる⼈が最も多く、「⼥性が活躍できる職場にしたい」(36.5%)、「もっと大きな裁量をもちたい(31.9%)」、「⼥性管理職としてのロールモデルになりたい」(31.3%)といった回答が目立ったという。

 また管理職になる⼥性を増やすために必要なことについて聞いたところ、「⼦育て・介護等と仕事の両⽴⽀援」(43.8%)が最も多く、続いて「管理職の役割やあり⽅の⾒直し」(35.1%)、「職場の理解促進」(34.6%)という結果になったという。

 調査結果を踏まえ、同社ピープルバリュー本部⻑の⼟屋恵⼦氏は「様々なデータで(日本の)⼥性の昇進意欲が低いことはしめされていますが、決して昇進意欲が低いことと仕事に対する意欲が低いことが同義ではありません。⼥性は男性と比較し、依然としてライフイベントが働き⽅に影響を与える可能性が高い傾向にあるため、⼥性が継続したキャリアを築けるような⽀援が企業には求められています」と分析する。

 また女性管理職の増加に向けて「ここ数年で、国内⼤⼿企業を中⼼にジョブ型雇⽤への移⾏が徐々に進展しています。それに伴い、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)が明確になり、ブラックボックス化しがちだった『管理職』という職務が企業内で再定義され、求められるスキルや経験が明確になってきました。(各企業での)ジョブ型への移⾏も、⼥性の活躍を後押しするような機会に繋がるのではないかと期待しています」と提言している。

容易に休めない空気感と曖昧な職務内容

 実際のところどうなのか。アンケート結果に関する感想を複数の女性管理職に聞いてみた。大手電機メーカー関連企業に勤務する40代管理職女性は次のように話す。

「確かに私も自発的に管理職になったわけではありませんでした。なんというか、自発的に手を上げて“やりたい”とアピールすると“ああ、そういう人なんだ”みたいな社内の空気があったので、そこは上司の推挙を待ってという手順を踏んだというか……。

 実際に管理職になってみて、会社の制度的にはなんの問題もないはずなのに、子どもの都合で休みも取りづらくなったというのはありますね。制度は整っても社内の空気が追い付いていないというのはあると思います」

 一方、大手メディアの女性幹部は次のようにぼやく。

「長らく“男職場”と言われてきたメディアもここ最近、ようやく女性幹部が定着してきました。ただ男女比を均等にするだけではなかなか難しい面もあると思います。

 毎日、生ニュースを扱うメディア業界では、プレイヤーとしてのパフォーマンスが管理職にも求められることが多々あります。本来、編集幹部はマネジャー・プロデューサーとして企画を立案したり、チームメンバーを適正に差配したりすることがコア業務です。しかし実際には、プレイヤーとしても優秀ではないと認められない風土がある。

 だから、幹部級の人間が社会・経済の大事件や大災害の取材の現場などに立たなくてはいけないという場面が生じます。そういう時に『子どもが熱を出していて』とか『父親の介護があるから』などと容易に休めませんよね。

 とにかく“管理職のジョブとはなにか”が曖昧なので、管理職は『マネジメントもプレイヤーも両方できる人であれ』みたいな風潮が強く残っている気がします。

 当然、現場を管理職が知っていることはとても大切なことですが、プレイヤーとして優秀かどうかということと、管理職に必要なスキルはまた別だとも思います。裁量の大きい仕事をしてみたいと思っている女性はたくさんいると思います。

 しかし管理職が『なんでもできる人』『残業代を払わずにどんな時でも使い倒していい人』になっている限り、女性に限らず、男性もしんどいと思うのは当然でしょう。昇進したいと思う人が、そう思う人より少ないという調査結果には、うなずけるところがあります」

(文=Business Journal編集部)

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