「人生100年時代」と言われるようになり、「定年=リタイアからの悠々自適」という既成概念はとっくに崩壊。若いうちに大金を稼いでアーリーリタイアする人もいれば、何歳になっても働かざるをえない人もいるという、生き方のロールモデルを探すのが難しい世の中になっている。
60~65歳で定年を迎えたとしても、残りを「余生」とするには日本人の平均寿命はあまりに長い。時間を持て余すよりは、ということで定年後も10年、20年と働き続けることがこの先どんどん当たり前になっていくだろう。
50歳、その時何をするか?
多くの人は50歳を前にすると、延長雇用で会社に残るか、独立を考えるかという選択肢がちらつきはじめる。そのあたりから「いつまで、どこで、どのように働くか?」を考えるようになる。
その選択肢の一つとして「FA独立(フリーエージェント独立)」を提唱するのが『50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える!』(前川孝雄著、PHP研究所刊)だ。
本書では、人材育成の専門家集団であるFeelWorksグループの創業者であり、部下を育て組織を活かす「上司力」提唱者である前川孝雄氏が、自身の失敗経験も交えながら、会社に勤めているうちから始める独立ノウハウを紹介する。
FA独立(フリーエージェント独立)とは、本書で「ベストな選択」だとしている50歳からの働き方。「ひとり社長」として独立することで初期投資を抑えつつ、これまでの経験を活かし、やりがいを持って仕事をしていく。FAとは、プロ野球のフリーエージェントのイメージだ。
プロ野球のフリーエージェントは、もともと所属していた球団との契約から解放され、これまでの経験やスキルをいろいろな球団に評価してもらい、自分を買ってくれる球団と自由に契約するというもの。トレードと違い、契約先を自分で選べるところがポイントだ。
ただ、プロ野球と違い、ビジネスパーソンのFA独立は、契約先が一つとは限らない。嘱託など雇用形態を変えて、今いる会社で定年後も働き続ける雇用延長と比較すると、変化の激しいこれからの社会では収入元を1社に依存すること自体がリスクとなるため、複数顧客を持つことができるFA独立は、1社の仕事を失っても一部の収入減にとどめられるため、リスクが少ない点も大きなメリットとなる。
ただ、こうした生き方を誰もができるわけではないだろう。明確な専門分野が必要だし、人脈や交渉力も必要だ。だとしたら、50歳になるまえに何をしておけばいいのか。
50歳からどのような働き方をすれば、充実した人生を送れるのか。そして、そのためには今からどういう準備をして、どんなことをできるようになっていればいいのか。「FA独立」について書いた本書は、来たるべき50代に向けて「今何をすべきか」を考える参考書になってくれる。
「終身雇用時代は終わった」
「定年後も働き続ける時代が始まる」
といったことはよくいわれるが、こうした変化を乗り切るために具体的になにをしているかというと、多くの人は特に何もしていないのかもしれない。本書はそんな自分を変えてくれるかもしれない。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。