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札幌五輪招致「過半数が賛成」に市民から疑問続出…意向調査実施を知らない人も

文=Business Journal編集部
札幌市の2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会概要(案)
札幌市の2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会概要(案)

 2030年冬季五輪・オリンピック招致の賛否について、札幌市が実施した意向調査で、「賛成」「どちらかいえば賛成」と回答した賛成意見が過半数を占める見通しとなったことが明らかになった。北海道新聞が15日、記事『札幌冬季五輪招致、賛成派が過半数 市の意向調査 16日結果発表』で報じた。意向調査の結果に関しては、16日に正式に発表されるが、同報道を受け、Twitter上や大手ニュースサイトのコメント欄には「アンケートなんて、やってた?」「札幌市民ですけど、そんな調査してるって知りませんでした」などと疑問の声が上がっていた。

郵送は無作為抽出、ネットは調査会社、街頭は映画館来館者

 調査は郵送、インターネット、街頭の3種の調査を組み合わせ計1万7500人を対象に実施したという。当編集部が意向調査の実施形態に関し、札幌市スポーツ局招致推進部調整課の担当者に聞いたところ、以下のように説明を受けた。

「調査は今月2~14日に行われました。対象は、郵送調査が無作為抽出の札幌市民1万人です。インターネット調査は調査会社に委託し、同社にモニター登録していた札幌市民2000人と北海道内の3000人を対象にしています。

 “街頭調査”は新型コロナウイルス感染症に伴うまん延防止等重点措置下であることもあり、感染防止措置をはかりながら、しっかり回答いただける映画館にお越しになっていた方を対象に実施しました。札幌、函館、旭川、釧路、帯広、北見、苫小牧の7地区で約2500人となります」

意向調査は「招致の是非を決定するというものではない」

 札幌五輪招致をめぐり、同市は昨年11月29日に『2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会概要(案)』を発表していた。「大会概要(案)をもとに、オリンピック・パラリンピックに対する市の考えを発信し、市民の意識と理解を深め、機運の醸成を図る」「昨今の社会情勢や生活様式の変化によって生じた、市民のオリンピック・パラリンピックに抱く意見を、今後の計画検討に取り入れる」としている。なお大会概要案では、今回の意向調査に関し、以下のように説明している。

「今回実施する意向調査は、 2014年の招致表明時と同様、市民へ賛否を尋ね、その結果により招致の是非を決定するというものではなく、今後の進め方の参考とするもの」

「大会招致にあたっては、国や企業からの支援の獲得に加え、市民対話事業をはじめとした機会を活用しながら、より多くの市民の声を把握し、議会とも協議のうえで総合的に判断する」

ワークショップでは財政面などを不安視する声も

 意向調査と合わせ、札幌市は今年2月9日と14日の2回に分けて市民ワークショップを市内で開催した。参加者の質問と市側の回答内容も公表されているが、コロナ禍の中で開催された東京五輪の混乱や、国際オリンピック委員会(IOC)への不信、開催に伴う財政負担などを心配する声が相次いでいたようだ。公開されている資料から一部抜粋する。

質問:「財源確保の見通しは確かか。東京の膨大な赤字、札幌の清算は完了したか。IOC、JOCは約束を実行したか」(原文ママ、以下同)

回答:「大会運営費の財源は、IOC(国際オリンピック委員会)負担金やスポンサー収入、チケット売上収入等を見込んでおります。そのうち、IOC負担金とTOPスポンサー収入については、IOCが過去の冬季大会開催地に支出した額を基に試算しており、国内スポンサー収入とチケット売上収入等は、過去の冬季大会の実績を参考としております。

 しかし、スポンサー収入は開催地決定後に、大会組織委員会が各企業と個別に交渉するもので、現時点では確約を得ているものではありませんので、今後、多くの支援を得ることができるよう、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。なお、東京大会において札幌市として清算するものは特にありません」

質問:「IOCへの不信感が東京2020大会の際にあった。特にコロナ禍が広がっているのにも関わらず、強硬に開催を進めているという風に感じた。それに対する説明や対応も不透明なまま、札幌での大会招致を進める事に対して疑問を持っているので、説明して欲しい」

回答:「大会の招致から開催までの一連の取組は、まちづくりを加速させ、市民生活に好影響を与えるものと認識していることから、継続的に取り組んでおります。今後は、東京2020大会での課題や懸念も踏まえながら計画の検討を進めてまいります」

質問:「施設整備費実費負担額450億円+予備費200億円の合計650億円は、過大な負担だと思います。2020東京オリ・パラの経緯・結果を考えたとき、その過大な負担はさらに膨らむことも想定されます。なぜ予備費に200億円もの巨費が必要なのか? さらに圧縮する考えはないのか? 万が一の歯止め策をどう考えるのか? お答えください」

回答:「予備費の200億円は大会運営費(組織委員会予算)となりますので、札幌市の

負担ではありません。東京2020大会では、新型コロナウイルス感染症に伴う無観客開催で、チケット収入がないといった事態が生じました。それを踏まえ、他の冬季大会よりも高い割合(10%程度)で予備費を計上しておく必要があると考えております。

 また、不測の事態により、万が一想定しているチケット収入が全く無くなった場合でも、当該予備費の執行と変動費の縮減により予算枠内での対応が可能であると考えております」

 東京五輪で起きた様々な混乱の記憶も新しい。仮に札幌市が五輪招致を推し進めるのであれば、市民に対する招致計画の説明が一層求められそうだ。

(文=Business Journal編集部)

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